健康に関心のある人であれば、レスベラトロールという物質名を耳にしたことがあるかもしれません。レスベラトロールは、ブドウの果皮やピーナッツの渋皮をはじめ、いくつかの植物から抽出されるエキスの中に微量ながら含まれているポリフェノールの一種です。強い抗酸化力を持ち、モデル動物での寿命延長作用や抗炎症作用などが確認され、注目を集めるものとなりました。
糖尿病への効果では意見の分かれるレスベラトロール
レスベラトロールについては、ヒトが摂取しても、健康に効果があると考えられ、さまざまな研究が進んでいます。動脈硬化の防止や認知症の予防、乳がん・肺がんリスクの低減につながる可能性があるとの報告があるほか、肥満や糖尿病に代表される加齢とも関連した代謝性異常に効果があるとする研究報告もみられています。
一方で、マウスなどでは糖尿病への効果、血糖降下作用などがみられるものの、ヒトにおけるこの領域での健康上の有意なメリットは確認できないとする研究もあり、意見が分かれるところとなっています。
このレスベラトロールについて、その摂取がインスリン感受性を改善し、標準的2型糖尿病治療において、代謝改善を促進するものとなるのか、判断するための研究が、Silvie Timmers氏らのチームによって行われ、結果が「Diabetes Care」に掲載されました。
研究チームは、血糖コントロールが良好な2型糖尿病患者17人を対象に、プラセボ(偽薬)または1日あたり150ミリグラムのレスベラトロールを30日間摂取してもらい、その影響・効果について検証しました。実験は、ランダム化二重盲検クロスオーバー試験としてデザインされ、主要アウトカム指標を、高インスリン血糖刺激クランプ法で評価するインスリン感受性としています。
インスリン感受性への影響はみられず
実験の結果、レスベラトロールを摂取したことによる、肝臓や末梢でのインスリン感受性への有意な影響は認められませんでした。また肝臓内の脂質含量についても、レスベラトロール摂取による影響は確認できなかったとされています。
しかし、肝臓内脂質含量の変化については、血液中のレスベラトロール濃度と負の相関関係にあることが分かり、レスベラトロールを摂取すると、2型筋繊維の脂肪細胞内における脂質含量の増加、収縮期血圧の低下といった傾向が現れることも確認されました。またミトコンドリアの機能を活発化させ、有意に改善することも認められています。
さらに注目すべき点としては、レスベラトロールの代謝物であるジヒドロレスベラトロールの血中濃度と、患者が治療で用いたメトホルミン量に相関関係があることが判明し、メトホルミンとレスベラトロールとの間に相互作用が存在する可能性が示唆される結果となりました。
今回の研究は小規模で限定的なものですが、レスベラトロールがインスリン感受性を改善しないことを示した一方、メトホルミンとの相互作用がある可能性が高いという新たな知見を示すなど、注目すべきものとなっています。研究チームでは、今後標準治療へのレスベラトロール追加投与の有効性については、さらに詳細検討する必要があるとまとめています。
(画像はイメージです)

Diabetes Care : Resveratrol as Add-on Therapy in Subjects With Well-Controlled Type 2 Diabetes: A Randomized Controlled Trial
http://care.diabetesjournals.org/content/39/12/2211