糖尿病治療薬には、さまざまな種類のものが登場してきており、それぞれ働き方に違いがあるため、その特徴を理解し、うまく使っていく必要があります。その中でGLP-1受容体作動薬と呼ばれるタイプの薬剤について、使用に関する最新の研究報告が「Diabetes, Obesity and Metabolism」オンライン版に11月9日付で掲載されました。
心配される消化器関連リスクを評価
小腸から分泌され、血糖値を下げる働きをもった「GLP-1」を治療に利用するのが、GLP-1受容体作動薬と呼ばれる薬剤です。GLP-1は、インスリン分泌を促したり、血糖値を上げる働きをもったグルカゴンの分泌を抑えたり、食欲を抑えるといった作用があることから、高い血糖低下効果を見込めます。
しかし、分泌後わずか数分でDPP-4という分解酵素でアミノ酸の一部を切断され、血糖値を下げる働きを失ってしまうという弱点があります。そこで、GLP-1受容体作動薬では、これを妨げる工夫を施して、体内にあるGLP-1よりも長時間、その働きを保てるようにしているのです。
インスリンにも劣らない高い血糖低下効果をもつほか、血糖値が高いときにだけ働き、低いときには働かないという特徴があるため、低血糖を起こしにくいというメリットや、食後の血糖値上昇を抑える、体重増加を抑制するといったメリットがあることから、注目される薬剤のひとつとなっています。
一方で、この薬剤で心配されるのは、悪心、嘔吐または下痢といった消化器関連の症状です。そこでこうした症状が現れるリスクとGLP-1受容体作動薬の用量、投薬背景、作用時間などの関係性を評価する研究が行われました。
リスクは用量に依存的、作用時間でも差
研究を実施したのは、Karolin Bettge氏らの研究チームで、彼らはデータベースからGLP-1受容体作動薬に関する第3相試験の論文32本を抽出し、システマティック解析を実施、悪心や嘔吐、下痢を報告した患者の割合を、GLP-1受容体作動薬の投与量や基礎血糖降下薬として用いたものの種類、GLP-1受容体作動薬の作用時間の違いといった観点から比較・分析しています。
その結果、長時間作用型のGLP-1作動薬、およびその他GLP-1受容体作動薬の全種類で悪心のリスクがあることが認められ、それらは用量に依存的であることが分かりました。この結果は嘔吐や下痢の発現リスクでも同様で、それぞれ有意な用量依存性がみられています。
あわせて用いた基礎血糖降下薬に関しては、メトホルミンを用いた場合で悪心、嘔吐の発生が多く、リラグルチドではエキセナチドを用いた場合に比べて、悪心と下痢を少なく抑えられている傾向がうかがわれたそうです。
リラグルチドと比較して、デュラグルチドでも同様のリスクが確認されましたが、長時間作用型のGLP-1受容体作動薬では、短時間作用型のものに比べ悪心と嘔吐の発生報告が少ないものの、反対に下痢は多くなるといった特徴がみられました。
今回の結果から研究チームでは、GLP-1受容体作動薬を用いる場合には、消化器症状を伴うリスクがあるが、その発生頻度は投与量や背景となる基礎治療薬、作用時間などに違いをもたらすGLP-1受容体作動薬の種類によって異なり、現れやすい症状にも違い・特徴があると結論づけています。
(画像はイメージです)

Diabetes, Obesity and Metabolism : Occurrence of nausea, vomiting, and diarrhoea reported as adverse events in clinical trials studying glucagon-like peptide-1 receptor agonists: A systematic analysis of published clinical trials
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/dom.12824/full