糖尿病を発症すると、心血管系疾患の発症リスクが上昇するほか、神経障害や腎症といった合併症を生じやすくなることが知られています。またもう1つの代表的な合併症として、糖尿病性網膜症がありますが、この眼疾患へのリスク対応や認識はまだまだ不十分なケースが多いようです。
国際共同調査「DR Barometer Study」で判明
世界高齢者団体連盟(IFA)、国際糖尿病連合(IDF)、国際失明予防機関(IAPB)ドイツのBayer Pharmaが18日に発表した国際共同調査「DR Barometer Study」によると、成人糖尿病患者の4分の1は眼疾患についてかかりつけ医らと話し合っておらず、視覚障害を生じてから診察を受けていることが判明したとされています。
この調査結果から、専門家らは、失明は糖尿病の他の合併症リスクより2倍も高いものであるにもかかわらず、十分な対応がとられていないと指摘、糖尿病性網膜症(DR)および糖尿病性黄斑浮腫(DME)管理をさらに徹底すべきだとしました。
「DR Barometer Study」は、世界41カ国の成人糖尿病患者、約7,000人と医療関係者を対象とした調査です。調査に参加した患者と眼科医は、目の健康を保つ上で最大の障壁となっているのは、診察予約がとれるまでの長い待ち時間にあると回答、また患者の3人に1人は、予約がとれたとしても、検査費用が高額でまかないきれないと答えています。また患者の24%は、診療所での待ち時間の長さも苦痛であり、診察を受ける上での障壁になっていると回答しました。
また、医療関係者側にも問題があり、その調査対象における半数は、糖尿病に伴う視覚障害の発見・管理に関するプロトコルを有しておらず、専門家向けのガイドラインがきちんと設定されていないこと、対応力のある充実した医療制度が整備されていないことが明るみに出る結果となったことも報告されています。
こうした現況の問題は、糖尿病患者の眼疾患に関する適切な診断・治療が早期に行われないリスクを高め合うものと考えられますが、実際に調査対象となった眼科医の約3分の2は、診断の遅れがのちの転帰改善における最大の問題になると考えるとし、半数以上は、患者が視覚障害をすでに発症し、多くの場合、治療するには遅すぎる段階で受診していると証言したそうです。
受診しやすい環境づくりと意識づけが急務
報告によると、現在世界の成人糖尿病患者における3人に1人、およそ9,300万人が、治療せず放置すれば失明につながる可能性のある糖尿病性網膜症(DR)に罹患していると推計されています。
また、糖尿病の患者数そのものの増加も著しく、2040年までに6億4,200万人に達すると見込まれており、高齢化とあわせて考えると、眼疾患への対応、失明リスクを低減するための対策が、世界中で重要な健康・社会問題として、早急に取り組まねばならないものとなっていることが指摘されました。
今回の調査では、DR患者の79%が失明により、車の運転や出勤、基本的な家事を行うといった日常生活の活動が困難か、場合によっては不可能になったこと、DRあるいはDMEを発症した人々の20%が視力低下などにより糖尿病の管理能力も低下したこと、それが健康全般、QOLにも大きく影響し、DR患者の半数超は自らの健康状態について「不良~普通」と回答したことなども示されています。
糖尿病性網膜症(DR)は、日本も含め、先進国の大半で成人、労働人口における失明の主たる要因となっており、QOLを著しく低下させることが知られています。DRやDMEは、適切なスクリーニングと診断、治療がなされれば、うまく管理することが可能なものであり、現状では体制上の問題点などが、不必要に高い失明リスクを生んでいると言わねばなりません。
「DR Barometer Study」を通じ、専門家らは、患者が金銭的にも時間的にも利用しやすい仕組みを整え、定期的な眼科検査を受けるように徹底することで、効果的なモニタリングと管理を確実に受けられるようにすれば、失明リスクをこれ以上増加させずにすむとしました。
また、DRおよびDMEの予防・発見・治療に関し、糖尿病患者と医療関係者の両者が十分に知識を身につけることが重要であるほか、そもそもの糖尿病をよりうまく管理し、失明につながることがないよう積極的に治療していくこと、そのためのツールを充実させていくことが大切だと呼びかけています。

IFA/IDF/IAPB/Bayer Pharmaによるプレスリリース(BusinessWire)
http://www.businesswire.com/「DR Barometer」 公式サイト
http://drbarometer.com/