国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 精神生理研究部の北村真吾室長、三島和夫部長を中心としたグループによる研究では、15名の健康な成人男性(平均年齢23.4歳)を対象に、特殊な実験室の中で就寝時間を12時間まで延ばす試験を9日間、実施。
その結果、現代において、多くの人が「自覚できない睡眠時間不足」を抱えている危険性があることが判明しました。実証研究を通して、個別に睡眠不足のレベルを評価することで健康への影響を検証する試みは、測定技術上の理由から、今まであまり行われませんでした。
自覚されていない「睡眠不足」
試験実施中の睡眠時間の変動曲線を基に算出、試算された各試験対象者の必要睡眠時間は平均8.41時間(8時間25分)でした。
また、自宅での習慣的睡眠時間は試算された必要睡眠時間よりも平均1時間(1日当たり)短く、平均約1時間の自覚されていない「睡眠不足」が存在するという事実も判明。
内分泌機能が改善
睡眠時間を延ばし、自覚されていない「睡眠不足」を解消すると、糖代謝、細胞代謝、ストレス応答などに関係する内分泌機能が改善。
空腹時血糖値や副腎皮質刺激ホルモン、コルチゾール濃度が下がるだけでなく、眠気も解消され、甲状腺刺激ホルモンや遊離サイロキシン濃度が上がり、基礎インシュリン分泌能も増大することが確認されました。
睡眠不足は眠気やパフォーマンスの低下の要因となるだけでなく、記憶や学習、代謝、免疫などの精神・身体機能を阻害します。
糖尿病やうつ病などの病気と関係
睡眠時間は糖尿病やうつ病などの病気と関係しており、日本人を対象としたある疫学研究によると、糖尿病やうつ病などの色々な健康リスクは睡眠時間が7~8時間の人が低く、これよりも長い人や短い人は健康リスクが高まります
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 精神生理研究部では、眠気が不十分な為、本人が自覚できない、試算された1日当たり1時間の有害な睡眠不足を「潜在的睡眠不足(potential sleep debt)」と命名。
自覚できない「潜在的睡眠不足(potential sleep debt)」は長時間、持続する可能性が高く、中長期的な健康リスクの原因となります。臨床上、並びに公衆衛生学上、危険な睡眠習慣として注意を促していきます。
(画像はプレスリリースより)

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
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