糖尿病では、血糖値の測定とならんで広く実施されているものにHbA1c検査(グリコヘモグロビン検査)があります。このHbA1c検査は、ヘモグロビンのうち、血糖と結合して変化した「A1c」が占める割合を測るもので、このパーセントが高いほど高血糖が続いていたと判断できます。採血時点の血糖値に左右されることなく、過去に遡って血糖レベルをチェックできる優れた特徴をもった検査ですが、見方に一定の注意が必要となるなど、課題もあることが知られています。
米国研究チームが新手法を開発・発表
HbA1c検査には、およそ過去2~3カ月の血糖平均値が反映されます。この検査が導入される前には、採血時点の血糖値しか分かりませんでした。効果的な糖尿病治療を行うには、数カ月といった一定期間の血糖値推移を把握する必要があり、HbA1c検査はこの推定に貢献するものとして、糖尿病・糖尿病前症の診断、血糖コントロール状態のチェックに用いられています。
しかし、確かな有用性がある一方で、誤差の大きさも指摘されており、患者の状態によっては、本来の血糖コントロールレベルに比べ、HbA1c値が高くなったり、低くなったりするケースもあることが分かっています。
そこでこうした問題を解消すべく、John Higgins氏ら米国の研究チームが新手法を開発、10月5日の「Science Translational Medicine」に論文掲載され、注目を集めています。
血液細胞が作られてからどれくらいかを考慮、誤差を最小限に
Higgins氏らは、異なる患者間で、その血液細胞が作られてからどれくらい経過しているか、その齢の変動を考慮し、一定期間でどの程度の糖が吸収されたか、正しく測定できるよう、進化したアルゴリズムでHbA1c検査による血糖値の分析を行う方法を新手法として開発、HbA1c検査の高精度化を図りました。
報告によると、研究に参加した200人超の2型糖尿病患者で、有意な誤差といえる15mg/dL超のずれは、従来手法の場合、3人に1人の割合でみられましたが、開発した新手法による臨床測定値では、これを10人に1人の割合にまで減らすことができたそうです。
研究チームでは、今回導き出したアルゴリズムによる新手法を導入することで、血糖レベルのチェックとそれに基づいた糖尿病治療における判断・決定の質を向上させることができるだろうとしています。現時点ではまだ研究段階の手法ですが、より的確な診断へと結びつくよう、活かされてくるとよいですね。
(画像はイメージです)

Science Translational Medicine : Mechanistic modeling of hemoglobin glycation and red blood cell kinetics enables personalized diabetes monitoring
http://stm.sciencemag.org/content/8/359/359ra130.full