糖尿病における三大合併症として知られる糖尿病性網膜症は、世界における主要失明原因のひとつであり、日本国内でも成人中途失明原因として2位にあがるものとなっています。さまざまな治療法が確立され、完全な失明は回避できるケースも増えてきましたが、糖尿病性網膜症を発症する人は依然増加傾向にあり、糖尿病で視覚障害を生じる人は少なくありません。
世界で視力障害が急増、最大原因は眼科の未受診
8月23日の「Diabetes Care」に掲載された、米国のNova Southeastern大学と英国・ケンブリッジのAnglia Ruskin大学の研究チームによる、1990年から2010年を対象とした、糖尿病性網膜症による失明や視覚障害を生じた世界の患者数に関するメタ解析で報告されたところでは、この20年で完全な失明者が27%、視覚障害にいたった人が64%も増加していました。
この傾向は、所得の高い高齢化の進んだ先進国地域に比べ、東南アジアやオセアニア、アフリカ地域など、より人口平均年齢の低い発展途上国地域において顕著で、深刻な社会問題となっていることも明らかにされています。
Nova Southeastern大学では、こうした世界中で急増している糖尿病性網膜症での失明や視力障害は、糖尿病の患者が眼科を受診せず、適切な治療を受けないまま症状が進行してしまうことに最大の原因があると指摘しています。逆に言えば、たとえ糖尿病性網膜症を発症しても、適切な治療を受けることで、視力低下を抑えることは可能なのです。
自分は大丈夫と思わず年1回は検診を
Nova Southeastern大学のJanet Leasher氏は、不幸なことに糖尿病性網膜症では、多くの場合、早期段階では自覚症状がないと言い、それが適切な治療の開始を遅らせてしまう大きな原因になっているとして、糖尿病の患者ならば、少なくとも年に1回は眼科で目の検診を受けるべきとしています。
また、検診で何らかの異常が見つかれば、すぐに眼科専門医による治療を受けるべきで、それと並行して、血糖コントロールを良好に保っていくこと、改善していくことが重要となるため、糖尿病のかかりつけ主治医や看護師、栄養士、それに眼科医といった医療関係者が密接に連携、患者とともにチーム医療で疾患と向き合っていくことが大切であるとも指摘しました。
そして医療関係者の側からは、検査を定期的に受けやすいような費用対効果の高いスクリーニング方法の確立を早期に目指すこと、糖尿病性網膜症は、そもそもの糖尿病における血糖コントロールの改善で発症を防いだり進行を遅らせたりできるものであることを広く知ってもらうこと、網膜光凝固術や抗VEGF薬による治療など最新治療を、より多くの患者が受けられるようにすること、社会的な要因や医療インフラなどのスクリーニングおよび改善で地域的格差をなくしていくことなどが必要だとまとめています。
糖尿病そのものの治療に比べ、眼科検診は後回しにしがちですが、自分は大丈夫と軽く考えず、早期発見・早期治療が可能なように、日頃から気をつけておきたいですね。
(画像はイメージです)

Nova Southeastern大学 ニュースリリース
https://nsunews.nova.edu/study-finds-vision-lossDiabetes Care : Global Estimates on the Number of People Blind or Visually Impaired by Diabetic Retinopathy : A Meta-analysis From 1990 to 2010
http://care.diabetesjournals.org/content/39/9/1643