Watson HealthとADAで糖尿病患者らをサポートへ
米IBMと米国糖尿病学会(ADA)は現地時間の12日、IBMの有するコグニティブ・コンピューティング・システム「Watson」をベースにした糖尿病関連のアプリケーション開発を促進していくことを目的に、臨床データや研究データの分析で、今後複数年にわたって提携していくことを発表しました。
「Watson」は、IBMの開発した質問応答および意思決定支援システムで、自然言語を理解し、人と同じように情報や経験から学習、より適切な意思決定を実現することを支援するものとして知られ、人工知能関連技術のひとつとして注目されています。
IBMとADAでは今回の提携をもとに、それぞれがもつノウハウとデータを統合し、糖尿病患者や家族、治療にあたる医師、研究者などが活用できる、病態の管理や日々の生活におけるさまざまな決断、健康上大きな影響をもたらす重要な最新情報を入手することなどに役立つアプリケーションの開発を目指していく方針です。
複数の組織・企業との糖尿病関連領域での協業も進行中
「Watson」を用いた医療業界向けの事業は、Watson Healthとして進められていますが、今後このWatson HealthとADAは、「Watson」が糖尿病関連のデータを理解し、学習していけるよう、共同でトレーニングを実施していくとしています。トレーニングには、ADAが保有する66年分の健康状態や管理、コントロール教育についての情報などを含めたデータが活かされ、Watsonのレポジトリに蓄積される予定です。
将来的には、潜在的な糖尿病リスクの要因を特定して指定したり、健康状態についてさまざまな要素から確信度別に助言したりといったことが可能になるとみられています。
患者や家族が個々人の状態にあった生活アドバイスや情報を入手できるツールとなることはもちろん、医療従事者・研究者が、適切な治療について判断するためのデータ提供や、新たな治療方法の発見に向けて活用できるデータ解析機能なども実現される見通しで、クラウドデータの良さを存分に活かした個別医療が身近に実現されることが期待されるでしょう。
また今回のADAとの提携に加え、IBMではWatson Healthで、Novo NordiskやMedtronic、CVS Healthなどとも連携し、糖尿病患者向けのアプリケーション開発を進めており、その進捗状況についても明らかにされました。
なかでもMedtronicと開発を行っている「SugarWise」アプリは、開発最終段階に入っており、来年9月に限定的ながらリリースされる予定となっています。このアプリでは、グルコースモニタからのデータを分析し、パターンを検出、糖尿病患者の生活支援を行います。さらにMedtronicのインスリンポンプによる投薬量を自動調整するシステムの開発も進んでおり、まさに次代の糖尿病管理・治療スタイルが実現間近となっているようです。
(画像はプレスリリースより)

IBM ニュースリリース(ADAとの提携について)
http://www-03.ibm.com/press/us/en/pressrelease/49903IBM ニュースリリース(協業進捗状況について)
http://www-03.ibm.com/press/us/en/pressrelease/49904