東邦大学医療センター佐倉病院糖尿病・内分泌・代謝センターでは、糖尿病や肥満、高脂血症、高尿酸血症を中心とした疾患について、臨床を通じた知見の蓄積を進めています。そうして得られた知見と最新の研究結果などをもとに、同センターは7日、糖尿病を改善するため、すぐにでも始められる食事療法のコツ、食後高血糖を抑制する治療薬について、そして肥満外科治療についての3点をまとめたレポートを公開しました。
食事療法で気をつけるべきポイントは?
公開されたレポートによると、まず糖尿病の食事療法では、摂取エネルギー量を減らすとともに、糖質をはじめとする栄養バランスに気をつけることが重要であるとし、標準体重から算出したエネルギー量、タンパク質、適正な糖質・脂質量の摂取を目指すよう訴えています。
標準体重は、身長(m)x 身長(m)x 22で計算し、摂取エネルギー量はそれに25~35をかけた数、タンパク質は1.0~1.2(g)をかけた数で算出、その値より少なく抑えることが理想といい、さらに日本人は平均的に摂取エネルギー量のうち、5割から6割を糖質から摂取していますが、これを45%程度にまで抑えると、糖尿病を改善できるとされています。
また食後高血糖も糖尿病と深く関与していますが、これも食事で摂取する糖質の比率を10%減らせば、高くなりにくくなるといいます。
糖質を低く抑えるポイントとしては、主食量を控えめにし主食同士を重ねないようにすること、芋・豆・果物類を摂る場合にはさらに主食量を減らすこと、菓子・菓子パン・ジュース・酒の摂取に注意すること、外食や市販品を利用する場合は主食を半分量にすることが挙げられています。
糖質を減らしながらも、栄養バランスと満足感をキープするため、摂取する脂質の種類を工夫し、質の良い油を増やすことも重要といい、肉類や乳製品、マーガリンなどでなく、青魚の摂取を増やすこと、オリーブオイルやキャノーラ油、えごま油、亜麻仁オイル、体脂肪になりにくい中鎖脂肪酸油に分類されるオイルを使うことも推奨されました。
最新の糖尿病治療薬を知ろう!
こうした糖質・脂質・エネルギー制限を意識したバランスの良い食生活と合わせて用いることで、さらに効果を発揮する最新の糖尿病治療薬についても解説されています。この機会に知識として押さえておきましょう。
経口血糖降下薬には、いくつかタイプがあり、それぞれの病態にあった薬を選択して用います。「即効型インスリン分泌促進薬」と呼ばれるものは、食事直前に服用することで、食後のインスリン分泌を促進、食後高血糖を改善します。服用から効果発現までの時間が短いという特徴があります。
「α-グルコシターゼ阻害薬」というタイプは、小腸からのブドウ糖吸収を遅らせて、食後の血糖上昇を緩やかにします。空腹時血糖値は高くなく、食後高血糖がみられる患者さんに向きます。
「DPP-4阻害薬」は、血液中にあるDPP-4という酵素の作用を阻害することで、インスリン分泌を促すホルモンのインクレチンによる作用を長持ちさせ、食後の血糖値上昇を抑えるタイプになります。
最近耳にすることが多くなった「SGLT-2阻害薬」というタイプは、体内の糖の再吸収を抑制し、過剰な糖を尿中へ出し、ともに体外へ排泄させることで血糖値を改善するという働きをします。虚血性心疾患や脳卒中、下肢閉塞性動脈硬化症といった合併症の発症を抑えることが証明されており、また新たな作用機序をもつ薬剤であることから、高い注目と期待が寄せられています。
高度肥満の場合には外科治療も
体重を身長(m)の2乗で割ったBMI指数が35以上の高度肥満と呼ばれるケースの場合、より積極的な減量が必要になります。食事や運動、薬物療法での治療ももちろんですが、これらで対応しきれない場合、外科治療も選択肢になります。
肥満外科手術は、胃の容積を小さくして食事摂取量を減らす手術で、「袖状胃切除(スリーブ胃切除術)」や、さらに吸収制限も組み合わせた「胃バイパス術」、「スリーブ・バイパス術」などがあります。
これら手術を行うことで、インスリン分泌を促進するホルモン分泌が促され、また体重減少に伴ってインスリンがさらに作用しやすくなるため、食後高血糖の改善が期待できます。しかし嘔吐などの体調異変や、ライフスタイルの変化に伴うメンタルヘルスの変調をはじめ、問題点もありますし、リバウンドや合併症の可能性もあります。個々の病態や生活習慣に合った術式を選択することが重要で、定期的な術後の外来通院なども不可欠とされています。
現時点で保険診療により受けられる手術は、「腹腔鏡下スリーブ状胃切除術」というもののみで、この手術では、胃をバナナのように細長くし、食事摂取量を減らします。BMI指数が35以上かつ糖尿病などを有する患者さんで適用されます。
糖尿病は、患者さん自身が積極的に治療に取り組むこと、そして個々に合った治療計画でチーム医療によるサポート体制のもと、継続的に向き合っていくことが大切な病気です。この機会にレポートの内容もチェックし、日々の生活習慣も見直してみてくださいね。

東邦大学 プレスリリース
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