糖尿病の薬物治療における研究開発はめざましく、将来の個別化医療に向け、さまざまなタイプの薬も誕生してきています。なかでも、昨今注目を集めているのは「SGLT-2阻害薬」というタイプのものです。SGLT-2阻害薬は、糖の再吸収において主要な役割を担う、近位尿細管にあるSGLT-2の働きを阻害し、再吸収を防いで、余分な糖を尿中へ排泄させて血糖値を下げる仕組みをもっています。
2型糖尿病患者への投与で脂質酸化とケトン体の増加を確認
このSGLT-2阻害薬に分類される、ダパグリフロジンについて、気になる最新の研究結果が報告されました。2型糖尿病患者へのダパグリフロジン投与は、インスリン抵抗性を改善する一方で、脂質の酸化を進め、血中のケトン体を増加させるというのです。
この研究は、Giuseppe Daniele氏らの研究チームによってなされたもので、「Diabetes Care」オンライン版に先月、論文が掲載されました。研究チームは、2型糖尿病患者18人を、ダパグリフロジン投与群9人と、プラセボ(偽薬)の投与群9人とにランダムで割り付け、2週間後にインスリンクランプ検査や間接熱量測定、筋生検を行って、影響を検討しています。
ダパグリフロジンがどう作用しているかを示す新たな知見に
その結果、まずダパグリフロジンを投与した群では、空腹時血糖値が下がり、インスリン刺激によるグルコースの消失率が36%増加していることが確認されました。そして、グルコースの酸化も抑制されていましたが、非酸化のグルコース消失、つまりグリコーゲンの合成が増加していました。
またダパグリフロジン投与群では、グルコース酸化が抑制されていたものの、脂質酸化の進行と血中ケトン体の増加がみられ、これに伴うかたちで、空腹時での血中グルカゴン濃度における有意な上昇がみられたとされています。
さらにダパグリフロジンを投与すると、ATP(アデノシン三リン酸)の合成率が減少し、その減少度合いは血中ケトン体の増加傾向と相関関係にあったことも確認されたそうです。
これらの結果から研究チームでは、2型糖尿病患者へのダパグリフロジン投与は、インスリン感受性を改善し、それとともにグルコース酸化から脂質酸化への移行をもたらすこと、またグルカゴン対インスリンの作用比率増加に伴って、血中ケトン体を増加させる代謝的基礎を提供するものとなっていることが考えられると結論づけました。
SGLT-2阻害薬については、2型糖尿病治療における高いメリットが期待される一方、ケトアシドーシスを引き起こすとの報告もあり、その原因となる同薬の体内での働きに関し、注目が集まっています。今回の研究はこの点について、新しい有益な知見を提供しているといえるでしょう。
(画像はイメージです)

Diabetes Care : Dapagliflozin Enhances Fat Oxidation and Ketone Production in Patients With Type 2 Diabetes
http://care.diabetesjournals.org/content/2016/08/23