現代人は慢性的な運動不足にある人が多く、積極的に体を動かすことが必要、健康を維持するためには運動の習慣を身につけるべきといった指摘はよくみられるところですね。糖尿病を予防するためにも、日頃からの運動は食生活とあわせて大切なものであることは理解されている方が多いことと思います。
仕事や家事のちょっとした身体運動でOK!さまざまな疾病リスクを軽減できる!
しかし、突然ウォーキングやジョギング、ジムトレーニング、水泳といった運動を始めても、なかなか続けられるものではありません。急に激しい運動をすると、かえって体調を崩してしまうケースや、けがをしてしまうケースもあります。では、どうすればよいのでしょうか。
健康的な生活を維持するための身体運動は、私たちがイメージするよりもずっと軽いもの、気軽に取り入れられるもので、十分である可能性も高いようです。しかもその実践は、糖尿病予防につながるだけでなく、乳がんや大腸がん、虚血性心疾患、脳卒中などさまざまな疾病のリスクを低減するとみられています。そのことを示した最新の研究結果が、BMJ誌オンライン版8月9日号に掲載されました。
研究は、米ワシントン大学のHmwe H kyu氏らによるもので、2007年から2010年にかけての世界における高齢化と成人健康に関するデータ、および1999年から2011年にかけての米国国民健康栄養調査のデータを用いて行われています。
研究チームは、日常的なシーンでのレクリエーションや移動行動、家事、仕事といった身体活動を合計した総身体活動量を、運動強度を示すMETs(Metabolic Equivalent)に換算し、その数値と疾病リスクの関係について、系統的レビューとメタ解析を実施、検討を行いました。
強度な運動で得られる追加メリットは小さめ、自然に体を動かそう!
研究の対象においては、35例の乳がん、19例の結腸がん、55例の糖尿病、43例の虚血性心疾患、26例の脳卒中が存在していましたが、解析の結果、総身体活動量のより高いレベルで、いずれの疾患でもその発症リスクを有意に低減するという関係性がみられました。
しかし、その主要なリスク低減へのメリットは、比較的運動強度として低いレベル、活動量としてあまり多くはない3000~4000MET分/週で生じていたといいます。
たとえば糖尿病リスクについてみると、身体活動なしの群と最小推奨値の総身体活動量600MET分/週の群では、後者で発症リスクが2%低下し、600~3600MET分/週の群まで増やすと、さらに19%まで低減できることが判明しましたが、より激しい運動を追加した9000~12000MET分/週の群で減じられたリスクは、わずか0.6%となりました。
その他の疾患についても、およそ似た傾向がみられ、日常的に自然なかたちで体を動かす、低次から中程度の身体活動が、さまざまな疾病の予防には、相対的に大きなメリットをもたらすことが明らかにされています。
運動と意識しないような日常の行動で、少し意識して体を動かすようにしてみる、そうした心がけが糖尿病の予防に、またその他の疾病リスク低減に、大きく寄与するようです。
辛い運動はちょっと・・・と思う方も、少し歩いて出かけたり、体を動かす意識で掃除をしてみたりといったことなら、始めやすいのではないでしょうか。家事や仕事もはかどれば、一石二鳥、三鳥ともなり得ます。ぜひ参考にしてみてください。
(画像はイメージです)

BMJ : Physical activity and risk of breast cancer, colon cancer, diabetes, ischemic heart disease, and ischemic stroke events : systematic review and dose-response meta-analysis for the Global Burden of Disease Study 2013
http://www.bmj.com/content/354/bmj.i3857