糖尿病における予防や治療において、食事療法の重要性は言うまでもありませんが、毎日のことですから、これを十分に実行し成功させることは容易ではありません。しかし、今この食事療法を成功させるコツとして、「マインドフル食事法」に注目が集まっています。
食べることに意識を集中、より満足できる食事へ
この「マインドフル食事法」は、米国ミズーリ大学の臨床心理学者によって提唱されているもので、ストレスなく食べ過ぎを防ぎ、ヘルシーな食生活へと切り替えていける方法とされています。具体的には、どのような方法なのでしょうか。
この食事法は「マインドフルネス」の考え方からきたものです。「マインドフルネス」は、日本の禅における考え方や瞑想をベースとした心のトレーニング手法で、“今この瞬間”の自分の体験へと全神経を集中させ、現実をあるがままに受け入れること、自分の心身の状態をしっかり意識・把握することにより、ストレッサーな状況下でも、平常心を維持、集中力を高められるとして、ビジネス界でも注目されているものです。
欧米ではすでにその効果について、多くの実証的な研究報告がなされており、幅広い分野で実践されています。Google社などでも実践されているとして有名になり、メディアでも頻繁に取りあげられるものとなっているため、耳にしたことがあるという方もいらっしゃるでしょう。
「マインドフル食事法」は、このマインドフルネスを食事へと取り入れたもので、食べる行為により意識を向けて、適量で満足感もしっかりと得られるようにする、そうした食事方法なのです。
ながら食べはダメ!守りたい3つのポイント
「マインドフル食事法」を実践するには、まず3つのポイントをおさえましょう。1つ目として、食事をする際にはまず深呼吸をし、本当に空腹か、どの程度お腹が空いているのか、身体の要求に耳を傾けるようにします。
2つ目に、よく噛んで味わい、ゆっくりと食べるよう注意します。咀嚼音にも意識を向けながら、栄養素が身体に行き渡っていくイメージをもつとよいでしょう。そして3つ目として、食事が半分ほど進んだら、満腹感を得られているか、惰性で食べ続けていないか、あらためて確認するようにします。満腹ならば食事を止め、次に空腹を感じたときにあらためて食べ始めるようにするのです。
この食事法の対極にあるのが、いわゆる“ながら食べ”です。忙しいからといって、スマートフォンをいじりながら食事をしたり、TVを観ながらだらだらと食べ続けたりするような現代人にありがちなスタイルは、自然と食べ過ぎにつながってしまいます。
血糖値コントロールもしやすくなる!
米国のブラウン大学からは、「マインドフルネス」を実行していると、血糖値を正常域にコントロールしやすくなるという調査結果も出されています。
それによると、平均年齢47歳の男女399人を対象として調べた結果、「マインドフルネス」の実践度が高い群は、そうでない群に比べ、血糖値を正常域内でコントロールできている率が35%高く、空腹時血糖値も100mg/dL以下に保っている人が多いことが分かったといいます。
BMI指数や喫煙習慣、年齢、性別、人種、血圧、精神状態など影響しうる要素を考慮に入れて調整しても、やはり「マインドフルネス」実践者で血糖値が低い傾向にあったとされ、こうした人々では、自然と高カロリーや高脂肪な食事を控え、適量を摂取することができていたほか、医師が勧める運動療法などにも意欲的に取り組めていたと報告されています。
何気なく食べるのではなく、意識して食べる、ゆっくり味わって食べる、こうしたことに気をつけるだけでも、ずいぶんと食生活を改善しやすくなるようです。毎日のことだからこそ、気持ちよく健康的に食べたいもの、あなたも今日から始めてみてはいかがですか。
(画像はイメージです)

University of Missouri 発表資料
http://munews.missouri.edu/news-releases/2016/0718Brown University 発表資料
https://news.brown.edu/articles/2016/02/glucose