2型糖尿病は、MRI画像で見た時の脳白質高信号病変や脳組織のダメージの蓄積を進めてしまうことが知られており、これが脳神経系疾患を発症するリスクを高めることにつながっていると考えられています。しかしこの有害なダメージ蓄積も、長期にわたる生活習慣改善を行えば、軽減できることが分かってきました。
Look AHEADのサブ解析で判明
この研究成果は「Look AHEAD」と名付けられた研究のサブ解析で得られたもので、「Diabetes Care」に掲載されました。「Look AHEAD」は、2型糖尿病患者における生活習慣の改善が、心血管系疾患の発症リスクを減少させられるかどうか検討した研究です。
このランダム化試験のサブ解析により、過体重または肥満がみられる2型糖尿病患者で、10年間の強化生活習慣介入(ILI)を行った場合、脳構造の変化はどうなるか調べたのが、今回の研究になります。
対象となった患者は、過体重または肥満の2型糖尿病患者319人で、登録時の年齢が45~76歳、BMIは25kg/平方メートル以上(インスリン使用の場合は27kg/平方メートル以上)でした。追跡期間は約10年で、対象患者は強化生活習慣介入を受けるILI群と、支援・教育のみを受けるDSE群にランダムで割り付けられています。
脳構造ダメージは軽減、認知機能での有意な群間差はみられず
研究チームは、ILI群の164人とDSE群の155人について、登録、割り付けから10~12年後の脳の状態を評価するため、MRIによる脳構造チェックと、Modifies Mini-Mental Status Examによる認知機能評価を実施しました。
その結果、ILI群とDSE群で、脳の総容量(体積)や海馬の体積は同じ程度でしたが、ILI群では、DSE群に比べ、脳白質高信号病変のみられる体積が28%少なかったほか、平均脳室容積も9%減少していました。これらは認知症との関連も示唆されている病変であり、長期にわたる生活習慣の改善が脳構造へのダメージを軽減させた可能性が高いことを示しています。
一方、認知機能については、注意機能と処理速度の点で、LIL群のほうがDSE群に比べて有意に良好な成績であったことを除けば、有意と認められる群間差はなかったと報告されています。
このように、脳の構造からみた場合と、実際の認知機能全般における変化とが、十分な関連性を示さなかったところもあるため、さらなる詳細な検討が必要とされていますが、地道な生活習慣の改善を継続することは、将来の脳への悪影響を軽減してくれると考えられます。
リスクを低減させるという観点からは、十分意味が見出せることを示した結果と言えますから、日々の改善努力は続けていきたいですね。
(画像はイメージです)

Diabetes Care : Brain and White Matter Hyperintensity Volumes After 10 Years of Random Assignment to Lifestyle Intervention
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27208378