糖尿病を慢性的な基礎疾患としてもつと、網膜症といった目の障害や腎症、神経障害に代表される合併症を発症しやすくなるばかりでなく、心血管系疾患のリスクや認知症、うつ病などのリスクも増大することが分かってきています。このほかにも、高血糖状態で免疫力が全体的に低下しているため、さまざまな病気の重症化に注意しなければならないともされています。
インフルエンザ予防接種で流行期の入院率・死亡率が低下
こうしたことが、“糖尿病は万病の元”といわれる所以になっているのですが、それに関連した新たな研究が、英国のチームによってなされ、7月25日の「CMAJ」オンライン版に掲載されています。
この研究は、Eszter Vamos博士らが行ったもので、2型糖尿病患者に、インフルエンザワクチンの接種を行うと、季節性インフルエンザ流行期における脳卒中や心不全、呼吸器障害といった疾患による入院率および死亡率を低減させられる可能性があることが示されました。
研究チームは、英国の臨床実習研究データリンクの2003年4月から2009年10月まで、124,503人に及ぶ2型糖尿病患者のデータをもとに、後ろ向き追跡観察研究を実施し、インフルエンザワクチン接種と、流行期の入院率や死亡率との関係性について検討を行いました。
重症化リスク低減のため予防接種を!
その結果、インフルエンザワクチンを接種すると、ワクチン接種を行わなかった場合に比べ、脳卒中発症による入院率が30%低下し、心不全での入院率も22%、肺炎やインフルエンザそのものによる入院率が19%、いずれも有意に低下していることが見出されました。
また、心筋梗塞での入院率も、有意な数値とはいえないものの、19%低下しており、その他の死因も含めた全死亡率でみても、24%の低下が確認されました。
なおワクチン接種を受けた患者は、受けなかった患者に比べ、高齢で、より多くの合併症をもっていたことから、検討は諸要素の調整を行った上でなされているとのことです。
今回の研究は、インフルエンザワクチン接種と入院率・死亡率の直接的因果関係を証明するものではありませんが、強い関連性がみられることは明らかであることから、Vamos博士は、2型糖尿病患者に対し、インフルエンザワクチン接種を行うことは、脳心血管系疾患リスクや感染症の重症化リスクを低減できる十分なメリットがあると指摘しています。
(画像はイメージです)

CMAJ : Effectiveness of the influenza vaccine in preventing admission to hospital and death in people with type 2 diabetes
http://www.cmaj.ca/content/2016/07/25/cmaj.151059