適正な体重の維持管理は、糖尿病の予防や治療において非常に重要なものです。肥満や過体重は、確実に糖尿病発症のリスクを上昇させます。しかし日本では近年、比較的やせ型の体型で、BMIが低めでも、糖尿病患者となるケースが増加してきているのです。そこで、体重の増加と糖代謝の悪化および改善に関する、大規模な後ろ向き解析研究が行われました。
健診データから関連性の有無を検討
この研究は、Y Nakasone氏、T Aizawa氏らを中心とする研究チームによって実施されたもので、その成果は「European Journal of Clinical Nutrition」オンライン版に、7月13日付で掲載されました。
チームは、病院で健診を受けた、非糖尿病患者の会社員や地域住民である成人男女のうち、2005年~2015年に75グラム経口ブドウ糖負荷試験を2回以上行った4,234人のデータを抽出、解析を行いました。
そして、4.8年にわたるフォローアップ追跡調査を実施、ベースライン時と追跡終了時点でのBMI平均変化量と、血糖値が正常領域にあるかどうか、それらと糖尿病前症または糖尿病への症状進行、あるいは糖尿病前症から正常状態への回復について、関連性の検討を行っています。
男性の体重増は少しでも危険、女性には影響なし?!
その結果、フォローアップ中に血糖値が正常な値の領域にあった対象者のうち、35.8%にあたる746人が糖尿病前症または糖尿病となり、64.2%の1,337人は正常をキープしていました。それぞれをBMIの平均変化量で比較すると、糖尿病前症・糖尿病を発症した群は0.34、正常値を保った群は0.07でした。
一方ベースライン時で糖尿病前症とされた対象者のうち、17.6%の379人は正常値内に改善、残り82.4%の1,772人では変化なしとなりました。BMIの平均変化量は、前者がマイナス0.25、後者が0.02となっています。
関連する他の因子を調整し、あらためて多変量解析を施したところ、BMIの平均変化量は正常範囲内の血糖値が糖尿病前症または糖尿病の発症に進行するリスクと有意に関連することが認められ、BMIが1kg/平方メートル増加すると、その進行リスクは24%上昇することが判明したとされています。
同様に、糖尿病前症から血糖値正常値領域への改善ともBMI平均変化量は深く関係しており、BMI1kg/平方メートルの増加で、正常値への改善率は28%も低下していました。
こうした体重の微増減、BMIの平均差と、糖尿病発症、および糖尿病前症から血糖値正常範囲内への改善との関連性は、とくに男性において顕著な結びつきがあることが判明し、その関連はいずれも有意なものと認められています。
ところが今回の研究では、女性の場合、この関連性は男性に比べて非常に弱く、軽微な影響しか認められないなど、有意に関連しているとは言えない結果となったとも報告されました。
性差がこれほどあらわれたのは意外なところですが、とくに成人の日本人男性では、BMI値を意識し、日頃から体重管理に注意していくことが、糖尿病の予防と糖尿病前症からの回復によい結果をもたらしやすいようです。
(画像はイメージです)

European Journal of Clinical Nutrition : Impact of weight gain on the evolution and regression of prediabetes : a quantitative analysis
http://www.nature.com/ejcn/journal/ejcn2016118