地中海沿岸地域の伝統的な食生活を参考にした、地中海式ダイエットで話題を呼んだ「地中海食」は、脂肪分が高くとも、糖尿病や心疾患、乳がんなどの発症率を低く抑えることができ、健康効果を期待することができるという研究結果が報告され、あらためて注目を集めるものとなっています。
植物性食品を積極的に!
今回の研究は、地中海食の摂取による食生活改善と、他の欧米における一般的な脂肪制限食などのダイエット食とを、成人の健康アウトカムに及ぼす影響で比較した複数の文献をまとめ、その信憑性などについて検討したもので、「Annals of Internal Medicine」オンライン版の7月19日号に論文として掲載されています。
対象となった研究は、1990年から2016年4月までに報告された計56件で、いずれも100人以上をサンプルとする少なくとも1年間以上にわたって実施された対照試験、心血管リスクや糖尿病発症リスク、高血圧、死亡率を検討したコホート研究です。
地中海食は、オリーブオイルを積極的に摂取しており動物性脂肪の摂取割合は少ないなど、飽和脂肪酸に対する一価不飽和脂肪の比率が高いもので、果物と野菜、種子類・豆類、穀物やシリアルをたっぷりと摂取、赤ワインや乳製品は適量を摂取、肉類と魚介類では魚介類の摂取が比較的多いといった特色があるものとし、この要素から2つ以上を満たすものを、今回における地中海食の定義としています。
適切に実践すればリスク抑制に効果か
各研究報告を検討した結果、全死因による死亡率に、地中海食とその他制限食との違いはみられなかったとされていますが、1件の注目すべき大規模研究では、地中海食を摂取することで、糖尿病をはじめ心筋梗塞や脳卒中の発症リスクがそれぞれ約30%低減していました。また乳がんのリスクは57%低下したともされています。
また別の二次予防研究は、地中海食を摂取したグループで、再発性心筋梗塞および心血管系イベントによる死亡リスクが低くなることを確認しています。なお一部の研究では、大腸がんリスクを低減する可能性も示唆されていましたが、この点については断言することは難しく、十分な確証が得られなかったとされています。
結論として、因果関係が明らかになっておらず、証拠は限られているもの、脂肪の摂取を制限しない地中海食が、2型糖尿病や心血管系イベントの発生、乳がんの発生を抑制する可能性があるとされました。ただし一方で、全死因死亡率には影響を与えないかもしれないことも示唆されています。
摂取する油をオリーブオイルに変え、野菜を増やしたメニュー構成としてみたり、肉料理の一部を豆類や魚類に変更してみたりするほか、空腹時には果物やナッツ類で満足感を得るようにするなど、ちょっとしたところから地中海式の食事スタイルを実践すれば、糖尿病予防、合併症予防につながるかもしれません。
ダイエット食、制限食は油分が少なくて味気ない、いくら健康によいと言われても続けにくいと感じている人には、朗報でしょう。あくまでも適量をバランスよく摂取することが大切ですが、参考にしてみる価値はありそうですね。
(画像はイメージです)

Annals of Internal Medicine : Effects on Health Outcomes of a Mediterranean Diet With No Restriction on Fat Intake : A Systematic Review and Meta-analysis
http://annals.org/article.aspx?articleid=2534409