糖尿病の多くは、生活習慣などが主な原因となる2型糖尿病ですが、主に自己免疫によって生じるもので、膵臓のベータ細胞破壊によるインスリン欠乏が原因となっている1型糖尿病というものもあります。この1型糖尿病については、患者を対象とした大規模臨床研究が複数行われていますが、そのうちのDCCT/EDIC研究に関し、コホート全体の全死亡率を一般の人と比較した研究結果が、「Diabetes Care」オンライン版に掲載され、注目を集めています。
全死亡率では一般との大きな差はなし
この研究は、John M. Lachin氏らによって行われたもので、DCCT/EDICの研究コホートと、一般的な米国人の全死亡率を比較分析、検討し、どのような傾向がみられるかを探ったものです。
DCCTとは、米国とカナダの1型糖尿病患者1,441人を対象に、血糖値を正常に近づけるコントロールを行うことで、糖尿病による血管系の合併症発症やその進行を防止することができるのか調査することを目的に実施された研究で、1983年から1993年にかけて実施されたものです。患者は、1日に1ないし2回のインスリン注射を継続する従来療法群と、1日3回以上のインスリン注射または持続皮下インスリン注入療法による強化インスリン療法を受ける強化療法群とにランダムで割り付けられました。
DCCTでは、良好な血糖コントロールを行えば、合併症の発症・進行を抑制できることが判明したため、その効果が持続するかどうか、長期間にわたって調査する研究も続けられました。それがEDICです。この研究は現在も持続されています。
今回の比較研究は、これらDCCT/EDICの研究をベースに、これまで歴史的に、1型糖尿病患者の死亡リスクは、一般よりも早期に高いと考えられてきたことから、これら療法を受けた患者の全死亡率を、あらためて現在の一般死亡率と比べるというかたちで実施されています。
なお、DCCT/EDIC研究期間中の予測死亡率については、米国の一般人における現在の年齢や性別、人種に特異的なリスクなどを考慮に入れて推定したものを用いています。
従来療法群では一般より高い傾向
公表された結果によると、DCCTの強化療法群では、全死亡率が一般人のそれと比べ、有意ではない程度ながらむしろやや低い、標準化死亡比(SMR)0.88、95%信頼区間0.67~1.16という意外な結果が出たそうです。
一方DCCTで従来療法群に割り付けられた患者では、一般に比べ全死亡率が有意に高い、SMR1.31、95%信頼区間1.05~1.65という結果となっています。また、平均HbA1c値が上昇するにつれて死亡比が増加する傾向も確認され、HbA1c値が9%を超える場合では、とくに男性よりも女性でSMR増加率が大きくなることも分かったと報告されています。
これらデータから研究チームでは、良好な血糖コントロールを維持する療法を施すことによって、死亡リスクは軽減され、DCCT/EDIC研究コホート全体の全死亡率は、一般の人々と同程度になると指摘、しかし、その療法が従来療法の場合では、一般よりも有意に死亡率が高くなることが判明したと結論づけました。
(画像はイメージです)

Diabetes Care : Mortality in Type 1 Diabetes in the DCCT/EDIC Versus the General Population
http://care.diabetesjournals.org/content/early/2016/