糖尿病治療における薬物療法として用いる薬剤は、日々進歩しており、さまざまな作用機序、さまざまな特徴をもつものが開発されています。米食品医薬品局(FDA)は現地時間の7月28日、新たに2型糖尿病の成人における治療で、「Adlyxin」(一般名・リキシセナチド)の1日1回注射を承認すると発表しました。
食事・運動療法とあわせて血糖コントロールを改善
米国における2型糖尿病患者は2,900万人ともいわれ、糖尿病全体の90%以上を占めるものとなっています。日本でも同様ですが、患者においては、治療を行っても、依然良好な血糖コントロールが得られていないケースが少なくなく、高血糖状態が続くことにより、心臓病をはじめとする心血管系疾患リスクが高まるほか、視覚障がいや神経、腎臓の損傷を進行させてしまうなど、深刻な結果につながると指摘されています。
新たに承認された「Adlyxin」は、2型糖尿病をもつ成人患者に対し、食事療法や運動療法とともに薬物療法として、1日1回の注射を行うかたちで用い、血糖値を改善することを目指すものです。
心血管系イベントリスクを高めず、小児患者での臨床調査も進行
米国における製品名は「Adlyxin」ですが、一般名はリキシセナチドで、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬とよばれるタイプの薬剤になります。GLP-1は、体内で生成されるペプチドホルモンで、食事を始めると数分で放出され、膵臓α細胞からのグルカゴン分泌を抑制、膵臓β細胞からの血糖値に依存するインスリン分泌を促進するとされています。
米国での今回の承認に際しては、2型糖尿病患者5,400人を対象とした10の臨床試験における結果から、その安全性と有効性が評価されています。これら試験では、「Adlyxin」単独療法として、およびメトホルミンやスルホニル尿素、ピオグリタゾン、基礎インスリンなどを含む他のFDAが認可した糖尿病薬との併用療法として、それぞれ評価を行っています。その結果、「Adlyxin」の使用は、HbA1cレベルを改善し、血糖コントロールを良好にすることが明らかとなりました。
さらに、アテローム性動脈硬化心血管疾患を発症するリスクのある2型糖尿病患者6,000人以上を対象とする心血管アウトカム試験では、「Adlyxin」とプラセボ(偽薬)との投与を比較して検討したところ、「Adlyxin」の使用は、これら患者における心血管系有害事象の発生リスクを増加させなかったことが確認されています。
なお、「Adlyxin」と関連づけられる共通の副作用としては、悪心、嘔吐、頭痛、下痢、めまいが報告されているとのことです。FDAは承認の発表と合わせ、同剤の小児患者への投薬に関する効果と安全性を評価する臨床調査と、リキシセナチドの免疫原性を評価する調査を求めていくとの方針も示しました。
(画像はプレスリリースより)

FDA プレスリリース
http://www.fda.gov/NewsEvents/ucm513602