いまや世界の人々のうち10人に1人が2型糖尿病あるいはその予備群とされる状態にあると言われており、糖尿病の発症には、食生活や運動といった日々の習慣が環境因子として深く関与していることが判明しています。しかしこうした環境因子とともに、遺伝子多型の関与も強いとされており、今回、2型糖尿病発症のリスクを有意に上昇させる12の遺伝子が、国際研究チームによって同定されました。
膨大な世界の人々の遺伝子情報解析を実施
この研究成果は、7月11日の「Nature」オンライン版に掲載されたもので、研究には世界22カ国300人以上の研究者が参加、欧州、南アジア・東アジア、米国、アフリカに祖先を持つ人々と、5つの先祖グループからなる成人、111,548人を対象として大規模に実施されました。
研究チームはこれらサンプルに対し、全ゲノム解析およびタンパク質をコードする遺伝子情報の解析であるエクソーム解析を行い、2型糖尿病患者と糖尿病でない対象者の遺伝子多型を比較することで、一般的なDNAと、注目すべき稀な個別の遺伝子多型を調べ、糖尿病発症との関連性など特徴を見出す試みを行っています。
より効果的な治療法・予防法の開発、個別医療の実現へ
研究の結果、2型糖尿病の遺伝的リスクを有するのは、ほとんどが稀な遺伝コードではなく、多くの人において一般的に見られる遺伝子多型に関連していることが判明しました。関与する遺伝子多型は数百あるいは数千に及び、いずれもそれぞれが、そのコードを保有する個々人の糖尿病発症リスクを全体的に上昇させるとみられています。
今回携わった研究者らは、将来の糖尿病におけるより効果的な治療法、予防法を実現するには、人々の生活環境因子とあわせて、遺伝プロファイルも考慮することが適切と考えられると指摘しています。
また今回の研究・解析を通じ、2型糖尿病の発症に、より直接的な影響を与える12の遺伝子が同定されています。一例として、TM6SF2遺伝子と呼ばれるものは、肝臓に貯蔵された脂肪量を変動させ糖尿病リスクを高めることが判明しました。
今回の大規模に実施された研究は、2型糖尿病の遺伝的構造について理解を深めることに大いに寄与するものであり、新たな治療法や予防法の開発、個別医療の推進に向けて役立つ知見になると考えられることから、その成果データが世界の研究者へと公開されています。
(画像はイメージです)

Nature : The genetic architecture of type 2 diabetes
http://www.nature.com/nature/journal/nature18642