欧州医薬品庁(EMA)は現地時間の8日、糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬であるカナグリフロジン(canagliflozin)および同成分の配合薬において実施している足趾切断についての安全性評価に関し、同様の安全性評価を他の同種薬、ダパグリフロジン(dapagliflozin)とエンパグリフロジン(empagliflozin)についても開始することを発表しました。
カナグリフロジンのCANVAS試験における切断例増加を受け判断
EMAでは、糖尿病治療薬、カナグリフロジンについて、欧州各国で進行中の臨床試験であるCANVAS試験において、足趾切断例が増加していることから、この薬剤と切断リスクに関する安全性評価を始めています。
カナグリフロジンに関連した臨床試験で、すでに終了したもの12件においては、プラセボ(偽薬)投与群に比べ、カナグリフロジンの実薬を投与した群で足趾切断にいたったケースが増加したという報告はなされていませんが、念のため、EMAの専門委員会では、欧州域内で承認取得済みの同種薬、ダパグリフロジンとエンパグリフロジンについても、カナグリフロジンに対して進めている安全性評価を開始する必要性があると判断したといいます。
定期的ケアと慎重な投与を呼びかけ
切断例が増加したCANVAS試験と同様、心血管リスクの高いケースを対象とした別の臨床試験、CANVAS-R試験においても、プラセボ投与群に比べ、有意といえるまでの差には届かないものながら、実薬投与群で足趾切断の例が増加していることも報告されています。
独立医薬品リスク監視委員会(PRAC)では、試験中止の必要性はないと判断していますが、EMAでは、糖尿病患者、とくに血糖コントロールが不良で、高い心血管リスクを合併する患者の場合、感染や下肢切断にいたるような足部潰瘍のリスクが有意に高まるとみられるともみています。
SGLT2阻害薬は、従来の一般的な糖尿病治療薬が膵臓に作用し、インスリンを出すことで血糖コントロールを改善することを目指していたのに対し、腎臓の近位尿細管に作用、ここでのグルコース再吸収を阻害し、積極的に排泄させることで、血糖値を改善するという新たなメカニズムをもつ薬です。
低血糖リスクが低いことや、従来の治療薬で十分な効果が得られていないケースにも使用できるなど、多くのメリットがあるとされてきました。
EMAでは、安全性評価の対象を3成分に拡大して進めていく方針ですが、あくまでも現在進行中のものであるため、医療従事者には、患者の足趾切断にいたらせない定期的なケアの重要性や、過去に切断した既往のあるこれら薬剤の使用患者にはより慎重な経過観察を行いつつ治療を進めることなどを周知していく方針としています。
(画像はイメージです)

European Medicines Agency(EMA) プレスリリース
http://www.ema.europa.eu/Referrals_document/SGLT2