2型糖尿病を患う方のなかには、食事療法と運動療法を導入していても、十分な体重管理が行えず、症状の進行が止められにくい状態となっているケースも少なくありません。また、近年は過体重や肥満そのものが世界的な健康問題となっており、2型糖尿病への移行や心筋梗塞などの心血管イベントリスクを高めるものとして、喫緊に対応すべき対象となっています。
エーザイが「VENESPRI」についてラテンアメリカで初の承認を取得
こうしたなかエーザイ株式会社は14日、同社のメキシコ医薬品販売会社であるEisai Laboratorios, S. de R.L. de C.V.が、肥満症治療剤「VENESPRI」(一般名:lorcaserin hydrochloride、米国製品名「BELVIQ」、以下lorcaserin)について、同国で承認を取得したことを明らかにしました。
承認は、メキシコの規制当局である連邦衛生リスク対策委員会によってなされたもので、BMIが30kg/平方メートル以上、あるいは2型糖尿病や高血圧、脂質異常症といった体重に関連する合併症を少なくとも1つ以上有しているBMI27kg/平方メートル以上の成人患者における体重管理を目的とした食事療法と運動療法に対する補助療法を対象としています。
メキシコにおける肥満と2型糖尿病患者の急増は、世界的にも注目されていますが、同国での今回の承認は、ラテンアメリカ地域で初めて、lorcaserinの新薬承認がなされたケースになるといいます。
脳内セロトニン2C受容体を刺激し満腹感を促進、別途アウトカム試験も進行中
Lorcaserinは、米国のArena Pharmaceuticals, Inc. が創製した新規化合物で、選択的に脳内のセロトニン2C受容体を刺激することによって摂食を抑制し、満腹感を促進させると考えられているものです。米国ではすでにFDAによる承認を受けており、2013年6月から発売されています。
また2013年11月には、ライセンス対象地域をこれまでの米州21カ国から、日本も含んだ欧州、中国など世界各国(韓国、台湾、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエルを除く)に拡大する合意もなされています。エーザイと米国子会社のエーザイ・インクは、これら地域での商業化に関する独占的ライセンス契約を保持しており、今後販売エリアを拡張していく方針とみられます。
lorcaserinについて実施された複数の臨床第III相試験における主な有害事象は、糖尿病を有する肥満症患者の場合で、低血糖症、頭痛、背部痛、咳嗽、疲労と報告されています。ちなみに糖尿病を合併しない患者では、頭痛、めまい、疲労、嘔吐、口内乾燥、便秘がみられています。
このlorcaserinについては、さらに米国、メキシコを含む数カ国で、現在12,000例の患者を対象とした心疾患アウトカム試験が進行中で、この主要評価項目には、2型糖尿病への移行も含まれています。その他の項目は、心筋梗塞、脳卒中、心血管死といった主要心血管イベントと、入院を必要とする不安定狭心症、心不全、冠血行再建術です。こちらのトップライン結果取得は、2018年度を予定するとされており、この報告内容も注視されます。
肥満や過体重の状態にある糖尿病の方や糖尿病前症の方においては、まず食事療法と運動療法での体重管理改善が必須であり、基本となることに変わりはありませんが、こうした補助療法の動向も、世界的に注目されるものとなっています。
(画像はイメージです)

エーザイ株式会社 ニュースリリース
http://www.eisai.co.jp/news/news201651pdf.pdf