糖尿病治療においては、患者個々の状態に合った指導が、継続的にチームを組んでなされること、家族も含め患者自身も積極的に治療へ参加できるようになることが非常に重要です。こうした糖尿病治療の療養指導で、ユニークな取り組みにより成果をあげてきている病院のひとつとして、名古屋市の名古屋掖済会病院が注目されています。
「糖尿病食バイキング」?!ユニークな栄養指導を展開
名古屋市にある一般社団法人日本海員掖済会名古屋掖済会病院は、戦後間もなく開院し、1978年に東海地方で初めて救命救急センターを開設した歴史をもつ、地域の中核病院です。糖尿病・内分泌内科部長の吉田昌則氏をはじめとして、糖尿病患者の診療にも熱心に取り組んでおり、現在同病院にかかっている糖尿病患者は、1型が約70~80人、2型が約1,500~1,600人といいます。
同院では、12月を除く毎月第4金曜日に、医師、看護師、栄養士がスピーカーとなって開く糖尿病教室を行っています。また毎月第1金曜日には、栄養士が食事療法について話す栄養教室も開き、食事指導として月に1回、「糖尿病食バイキング」というユニークな取り組みも実践しています。
「糖尿病食バイキング」は、豊富なメニューから、患者自身が主菜・副菜・デザートなどを自分で選ぶもので、味の濃さや適正量を実食して体感できるものです。選んだメニューは栄養計算表のデータとしても提示され、家族とともに数字でも確認できるといいます。
バイキングには患者だけでなく、医療スタッフや家族なども参加し、それぞれが同じテーブルを囲んで、自分に合った食事量を確認しながら会話する機会ともなっており、患者と医療スタッフ、患者同士がコミュニケーションを深める機会にもなっているとのこと。同じ患者でも違う点に気づくなど、1人での療養生活では意識しなかったことを発見する場にもなっているそうです。
地域の薬剤師らとも連携、チーム力で取り組む
バイキングのあとにはアンケート調査も実施し、メニューに患者の要望を採り入れるといったことも進めており、飽きることなく参加できて、気軽に相談もできる貴重な機会となっているようです。
また、名古屋掖済会病院の栄養科では、食品サンプルを用いた指導も積極的に行っており、どのようなものをどれくらい食べると何キロカロリーになるのか、イメージしやすく提示することで、患者の日々の生活における外食などもサポートしているそうです。食事は毎日のことですから、こうした指導が役に立ちますね。
糖尿病の診療で医師ができることは、3割程度しかないというのが、同院吉田医師の見解で、残りの7割はチーム医療が鍵を握るとし、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、理学療法士などが連携したチーム医療を実践しているといいます。月に1度は各職種の代表が集まる「DM会」と呼ばれるミーティングを開き、治療法などについて、具体的な意見交換を行っているそうです。
糖尿病患者向けの「健康BOOK」というオリジナル冊子も手作りで作成し、入院患者・外来患者に配布、食事療法、運動療法、薬物療法など治療に必要な情報が網羅された充実の内容で、情報提供を進めているといいます。年に1、2回は内容を改訂し、最新情報を盛り込むよう努めているとのこと、頼もしいガイドブックとなっているようです。
2014年度からは、院内の薬剤部が地域の薬剤師会と連携し、共同で糖尿病についてのカンファレンスを開催することも始めており、地域の薬剤師とも連携して、さらに患者の顔の見える服薬指導、生活指導を進めているそうです。
個別の患者に合った治療と指導で、地域全体の糖尿病療養指導レベルを高め、広くより効果的な糖尿病治療を実現していく新たな取り組みとして、今後のさらなる展開が期待されますね。

一般社団法人日本海員名古屋掖済会病院 ホームページ
http://nagoya-ekisaikaihosp.jp/一般社団法人日本海員名古屋掖済会病院 糖尿病治療について
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