糖尿病の合併症では、網膜症や腎症、神経障害などがよく知られていますが、近年、胃不全麻痺も注目されてきています。みぞおち付近の痛みや食欲の低下、吐き気や便秘、下痢、胸焼けといった不調が、特別思い当たる理由もなく、頻繁にまた長引く症状としてみられる場合、糖尿病性胃不全麻痺を疑う必要があります。
relamorelinが症状による負担を軽くさせる可能性
ケースによって症状の出方は軽度から重度までさまざまですが、こうした胃不全麻痺を生じると、QOL(生活の質)が下がることはもちろん、食事療法として積極的に摂りたい食物繊維の摂取が胃不全麻痺の症状を悪化させたり、小腸から糖質が吸収されるタイミングが分かりにくくなることから血糖値管理がより困難になったりといった問題が生じてしまいます。
こうした糖尿病性胃不全麻痺について、relamorelinの投与が有効であり、この薬剤の服用によって症状が改善されるという研究報告が「Gastroenterology」7月号に掲載され、注目を集めています。
この研究は、Anthony Lembo氏らの研究チームによるもので、チームは中等度~重度の症状があり、胃内容物の排出遅延がみられる成人の糖尿病性胃不全麻痺患者204人(67%が女性、平均年齢55歳)を対象に、relamorelinかプラセボ(偽薬)かを投与する、プラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験を行ったものです。
研究チームは、まず対象の患者らを、relamorelin 10マイクログラムを1日1回皮下投与する群と、1日2回皮下投与する群、プラセボを投与する群の3つの群へ、同割合でランダムに割り付けました。
そして、胃内容物の排出における半減期間を主要エンドポイントとし、副次的エンドポイントに吐き気、腹痛、膨満感、早期満腹感、およびこれら4つの自覚症状の複合スコアと嘔吐の頻度・重症度を設定、安全性とともに評価を行っています。
胃の動きを促進、胃不全麻痺症状のコントロールに新たな光
試験の結果、relamorelinを1日2回皮下投与した群では、プラセボ群に比べ、胃内容物の排出が有意に促進されていることが確認されたほか、嘔吐の発現率が約60%低下し、症状の重症度が軽減されることが明らかとなりました。一方で、relamorelinの投与では、腹痛や膨満感といった消化器症状の改善はみられなかったと報告されています。
しかし、全対象患者の58.3%にあたる119人でベースライン時における嘔吐症状が確認されており、この患者群に絞り込んで解析すると、relamorelinの1日2回皮下投与群では、プラセボ群に比較し、主要エンドポイントの胃内容物排出半減期間が有意に短縮され、副次的エンドポイントの嘔吐や悪心、腹痛、腹部膨満感、早期膨満感といった症状にも改善がみられたとされています。
全体を通してrelamorelinを投与したことによる安全性上の懸念はみられておらず、こうした今回の結果から研究チームでは、relamorelinの投与は、胃不全麻痺の症状を改善し、コントロールすることにおいて、臨床的に意義のある十分な効果を発揮するものであることが明らかとなったと結論づけています。
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Gastroenterology 7月号 : Relamorelin Reduces Vomiting Frequency and Severity and Accelerates Gastric Emptying in Adults With Diabetic Gastroparesis
http://www.gastrojournal.org/article/S0016