ジョンズ・ホプキンス・メディスンの科学者たちは、体内の炎症作用を抑えるために一般的に用いられている経口血圧剤を用いて局所ゲルを作りだしました。この塗布剤は糖尿病患者や高齢者が苦しんでいる慢性創傷の治癒に効果があり、今回その研究成果を公開しました。
抗炎症作用を持つ経口薬を塗布剤に流用
慢性創傷はすぐに治癒することがない皮膚損傷の1つで、その損傷により感染や組織破壊のリスクが高くなることで知られています。米国では病院への訪問理由として常にあげられており、2008年には1億回以上にも達しています。
ジョンズ・ホプキンス大学医学部准教授で医師のPeter Abadir氏は、長年使用されてきた高血圧治療薬である炎症遮断薬ロサルタンとバルサルタンに着目、経口薬からゲル製剤を作成しラットや豚など動物による実験を行いました。
ロサルタン剤で一定の効果が
実験は、3つの異なる治癒段階にある群と1つの対照群を比較することで行われました。
炎症期である創傷罹患から3日目までを第1群、組織の治癒段階にある罹患から7日目を第2群、創傷罹患した日を対象とした第3群、その他に標準治療やプラセボを与えられた群を第4群とし、ロサルタンを用いたゲル剤を局所的に塗布しました。
その結果、第2群であるマウスが最も創傷治癒率が高かったといいます。
バルサルタン剤はより優れた効果も
さらに正常組織の再増殖による創傷治癒段階にある若い糖尿病マウスと老齢マウスに、異なる濃度のロサルタン製剤とバルサルタン製剤を与え比較が行われました。
その結果1%バルサルタン剤が他の薬剤と比較して最も大きな効果を与え、10%のロサルタンがその毒性に起因する最悪の治癒結果をもたらしました。
ヒトの皮膚と類似した特性を持つ豚による実験では、プラセボ群の豚を比較してバルサルタン1%を投与された豚の皮膚の傷は、より迅速に治癒。
12傷すべてが50日までに塞がったと研究者は話します。さらに治療開始当初は血液中にみられたバルサルタンは治療後期には検出されなかったといいます。
研究チームは今後ヒトへの臨床検査を予定しており、米国食品医薬品局(FDA)が薬品を認可できるように着実にステップを踏んでいます。
(画像はプレスリリースより)

ジョンズ・ホプキンス・メディスンのプレスリリース
https://www.hopkinsmedicine.org/news/ジョンズ・ホプキンス・メディスン
https://www.hopkinsmedicine.org