2型糖尿病を発症すると、さまざまな合併症や疾患の発現リスクが高まり、それらが悪化すると命に関わる問題になることが分かっています。中でも心血管系疾患との関連性は深刻な問題であり、これに起因する死亡例も多くなっています。
心臓周囲の脂肪蓄積と糖尿病、疾患の関連性を検討
こうした心血管系疾患の発現に関し、新たな知見を提示する研究報告がなされました。心臓周囲の脂肪組織蓄積に関するもので、その研究成果をまとめた論文は、「PLOS ONE」オンライン版に9月18日付で掲載されています。
研究を行ったのは、Tomomi Murai氏、Yasushi Ishigaki氏らのグループで、従来、内臓肥満や肥満、高血圧、糖尿病とは独立した心血管系疾患のリスク因子と考えられてきた心臓周囲の脂肪組織(EAT)蓄積について、2型糖尿病患者における病態生理学的な意味を検討したものです。
研究グループは、2014年1月~2016年7月に、冠状動脈疾患の既往歴のない2型糖尿病患者208人を対象として、心臓のマルチスライスCT画像検査を実施、これによって得られた心臓周囲の蓄積脂肪面積の増大と、アテローム性動脈硬化症に関係し、その評価に用いられるシスタチンCといった代理マーカーを含む検査値との関連性を調べました。
シスタチンC値の上昇と脂肪蓄積に有意な関連性
分析の結果、心臓周囲の脂肪組織蓄積は、年齢やBMI値、内臓脂肪の面積、レプチン、シスタチンC値、C-ペプチドと正の相関関係にあるほか、アディポネクチンや推定糸球体濾過率(eGFR)、肝臓と脾臓との比率とは負の相関関係にあることが分かりました。
さらに多変量線形回帰分析の結果では、血清シスタチンC値とレプチン、BMI値、年齢が、心臓周囲の脂肪組織蓄積と独立して、統計的に有意な関連性を示すものであることが明らかとなっています。
シスタチンC値をeGFRに置き換えて検証すると、eGFRと脂肪組織蓄積の有意な相関関係は失われ、逆解析では、多変量解析調整後でも、血清シスタチンC値が心臓周囲の脂肪組織蓄積と有意な関連性を保っていたそうです。
これらの結果から研究グループでは、心臓周囲の脂肪組織蓄積と血清シスタチンC値の上昇には非常に強い関連性があり、これまではそれぞれが独立したアテローム性動脈硬化症に対するリスク因子と考えられてきたものの、2型糖尿病患者における心臓周囲の脂肪蓄積がシスタチンC分泌における重要な役割を果たしている可能性があると指摘、これによって心血管系代謝リスクの上昇が招かれているのではないかとしました。
(画像は写真素材 足成より)

PLOS ONE : Association of epicardial adipose tissue with serum level of cystatin C in type 2 diabetes
http://journals.plos.org/