イリノイ大学Agricultural, Consumer and Environmental Sciencesカレッジ(以下 ACES)は妊娠中の母親の高脂肪食が将来、子どもの糖尿病リスクを増やす可能性があるものの、出産後に子どもに低脂肪食などを与えることによりそのリスクを減らせるとの研究成果を発表しました。
プログラミングされた疾患リスクを逆行できる可能性が
これまでの研究では妊娠中に母親が高脂肪の食事を摂取すると、将来その子どもが糖尿病など特定の疾患リスクが増えるといわれていました。
今回イリノイ大学の栄養学研究グループは、生まれた後でも子どもが低脂肪食などの新しい食事に切り替えることで、プログラミングされた疾患リスクを逆行させることができることを発見しました。
エピジェネティクスの視点から
イリノイ大学食品科学栄養学科のYuan-Xiang Pan教授は、離乳後の食事がエピゲノムをどのように制御し、体内の代謝に影響するかに焦点を絞り研究を行いました。
エピジェネティクスは、DNA配列は変化しないのに遺伝子の発現が制御される仕組みに関する研究です。DNAは遺伝しますが、エピジェネティクスでは遺伝子の発現を制御する仕組みも継承されるとしています。
出生後の食事で疾患プログラミングの書き換えが
今回の研究では、妊娠中に高脂肪食に曝露されたラットを、授乳時に高脂肪食と低脂肪食を摂取するラットの2組に分け、肝臓における遺伝子発現の差異がおこるかどうかに着目しました。
実験の結果、低脂肪食を与えられたラットには遺伝子発現の制御に変化が生じ、脂肪の蓄積と肝臓の炎症が少ないということが分かりました。
さらに2型糖尿病に関連する特定の代謝経路の変化も見られたといい、これは出生後の食事の変化に遺伝子発現制御機能が反応したためと研究者は見ています。
この成果についてPan教授は、栄養摂取を含む人生初期の環境が肥満や糖尿病、さらにいくつかの特定の疾患を治療できることを示していると期待を寄せています。
(画像はイリノイ大学 ACESのホームページより)

イリノイ大学 ACESのプレスリリース(Science Daily)
https://www.sciencedaily.com/releases/イリノイ大学 ACES
https://aces.illinois.edu/