糖尿病患者にとって、日々の血糖値チェックはきわめて重要なものであり、良好な血糖コントロールを目指していく基礎となります。こうした血糖値測定では、指先などの穿刺でごく少量の血液を採取するのが最も一般的ですが、わずかとはいえ痛みや手間、感染症リスク、消耗品コストなど、何かとストレスや負担がかかるものになってしまっています。
特殊インクで血糖値を可視化
近年では、その都度針を刺す必要のない血糖値モニタリングシステムも登場してきていますが、これらについてもなんらかのデバイスを装着して持ち歩いたり、身体に埋め込んだりすることが必要で、データ転送のためのシステム環境なども求められるといった不便さがあります。
こうした中、より簡便でストレスのない方法として、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学のメディアラボの研究者らによるチームが、皮膚に貼りつけるだけで血糖値が分かるという“スマートタトゥーインク”を開発したと発表しました。
色の変化をみて血糖値を把握、インスリン注射に活かす
9月28日に公開された開発技術の紹介文によると、この特殊インクは、体内の間質液に反応し、血中の化学濃度を示す血液成分代用物として機能、皮膚表面につけておくと、バイオマーカーとして働くようになるというものです。
血中のグルコース濃度が上がるにつれ薄い緑色から褐色、茶色へと変化していくもののほか、青色の光を当てると、ナトリウム濃度が上がるにつれて緑色を発色するタイプも開発されています。ナトリウム濃度の上昇では、いち早く脱水の徴候を捉えることができます。
糖尿病患者ならば、グルコース濃度を示す色の変化から、およその血糖値推移を把握し、それに従ってインスリン注射を打てばよいことになるでしょう。
研究チームでは、すでにブタの皮膚へとこのインクによる入れ墨を行い、異なるバイオマーカーに応じて色や強度がどう変化するか記録、生体状況を反映させられることを確認しています。
体内の状態をチェックする目的で幅広く活用できるインクとなるため、糖尿病をはじめとする慢性的疾患を有する人などに長期間保持されるタトゥーとして応用するほか、短期間のモニタリングが必要な人に対し一時的なデザインとして導入、皮膚につけてもらうといったことが可能とされています。
インクを通常光では見えない状態にすることも可能だそうですが、その場合はある特殊なタイプの光でしか見られないように限定されてしまうのではなく、スマートフォンなどのような、誰にとっても身近で使いやすい物から発せられる光で見られるようにするのがよいと考えられており、センサーの画像を分析して定量的な診断結果を出すアプリも、すでに開発していることが報告されました。
将来は、日々のストレスも経済的負担も最小限に、皮膚とより一体化したシームレスなスタイルをとるこうしたインクのタトゥーで、血糖値管理や総合的な健康管理が可能になるかもしれませんね。
(画像はプレスリリースより)

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