高齢者の場合、ふとしたことで生じた骨折が、著しくQOL(生活の質)を低下させるものとなり、寝たきりになってしまうケースも少なくなく、健康寿命を縮めてしまうことになりかねません。そのため、骨折には十分な注意が必要となりますが、2型糖尿病患者の場合、通常の人よりもさらに骨折そのもののリスクが上昇しているという研究報告がなされました。
糖尿病により骨が脆弱化、骨折リスクの高い状態に
研究を行ったのはElizabeth Samelson氏らのグループで、その成果をまとめた論文は「Journal of Bone and Mineral Research」オンライン版に9月20日付で掲載されています。
高齢の2型糖尿病患者では、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)を用いたこれまでの検討で、糖尿病を有しない高齢者に比べ、面積に対する骨密度が正常またはより高くなっていることが分かっています。しかし、その一方でこうした高齢の2型糖尿病患者では、骨粗鬆症に関連した深刻な骨折である股関節骨折のリスクが40~50%も上昇することも知られており、糖尿病と骨に関するより詳細な研究が求められていました。
そこで研究グループでは今回、2005年~2008年に「Framingham試験」と呼ばれるテストに参加し、2012年~2015年にHR-pQCTと呼ばれる高分解能のCT装置検査で、皮質骨と海綿骨の微細構造状態や骨密度、骨の強度などの評価を受けた成人男女1,069人を対象に、3年間の追跡調査を実施、糖尿病の有無で比較検討を行いました。
二次解析では、これまでの骨折経験や性別、肥満などによって違いが現れるかといった点も検討されています。被験者の年齢は40~87歳の平均64歳で、全体の12%にあたる129人が糖尿病患者でした。
とくに皮質骨の密度・強度が低下
年齢、性別、体重、身長といった関連因子によるデータ調整を行ったうえで、解析を進めたところ、2型糖尿病患者では、下腿部、すねの内側にある脛骨の皮質容積がより低下し、皮質多孔度は上昇、断面積は小さくなるなどしていました。いずれも骨質全体が低下し、脆弱化していることを示しています。
一方で、上腕部の橈骨における断面積は、2型糖尿病患者であっても縮小することがなく、線維柱指数は、2型糖尿病患者と非2型糖尿病者で類似しているか、2型糖尿病患者の方が良好となっていました。
これら2型糖尿病と骨の状態の関係性は、性別や肥満状態で変化することはなかったとも報告されています。しかしながら、骨折経験があるか否かでは、関係性に変化がみられ、骨折経験がある人に限定すると、脛骨における皮質容積、橈骨における皮質の厚さは、2型糖尿病でない人に比べ、2型糖尿病患者で低下していることが確認されました。
また逆に骨折経験がない人を抽出すると、橈骨における皮質多孔度が2型糖尿病を有しない人に比べ、2型糖尿病患者の群でより高いという結果になったそうです。
研究グループではこれらの結果から、皮質骨における骨の状態悪化は、高齢者の2型糖尿病と関連するものであり、骨質が劣化することによって、通常よりも骨折リスクが高まっていることを踏まえた、予防や治療の向上を目指す必要があるとしています。
(画像は写真素材 足成より)

Journal of Bone and Mineral Research : Diabetes and Deficits in Cortical Bone Density, Microarchitecture, and Bone Size : Framingham HR-pQCT Study
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jbmr.3240/full