血中アディポネクチンは、一般の健常者集団において骨折リスクと関連することが、最近の研究で報告されるようになりました。また2型糖尿病を有することも、骨折リスクを上昇させることがすでに分かっています。しかし、2型糖尿病患者における血中アディポネクチン濃度との骨折の関係性については、十分な研究がなされていませんでした。
日本人患者で初の大規模コホート研究
そこでこのほどYuji Komorita氏、Masanori Iwase氏、Takanari Kitazono氏らの研究グループは、福岡県糖尿病患者データベース研究により、大規模な観察コホート研究を実施、2型糖尿病患者における血中アディポネクチン濃度と骨折リスクの関連について、初めて検証しました。その成果をまとめた論文は、「Diabetologia」10月号に掲載されています。
研究の対象となったのは、福岡県糖尿病患者データベース研究に参加した外来2型糖尿病患者の4,869人で、平均年齢は65歳、男性は2,754人、閉経後の女性1,951人を含む集団です。追跡調査は、中央値で5.3年実施し、主要アウトカムをいずれかの部位における骨折、または主要な骨粗鬆症性骨折(MOF)としました。
濃度が上昇するといずれの骨折リスクも上昇
追跡期間中、被験者のうち682人で骨折が発生し、骨粗鬆症性骨折も277人でみられました。分析の結果、年齢調整済みのハザード比で、血中アディポネクチンのlog変換における1SDの増加で、閉経後女性の場合、骨折のハザード比が1.27、骨粗鬆症性骨折のハザード比は1.35となり、男性でも骨折が1.22、骨粗鬆症性骨折が1.40となることが分かりました。
さらに、20μg/ml以上の高アディポネクチン血症を発現している場合、閉経後の女性で骨粗鬆症性骨折のハザード比が1.72、男性では2.19と顕著に高くなっていたそうです。こうした血中アディポネクチン濃度が高いことによる骨粗鬆症性骨折の発現リスクは、年齢が70歳以上であることや性別が女性であることと同様に高いものと認められています。
これらの結果から研究グループでは、閉経後の女性を含む2型糖尿病患者で、血中アディポネクチン濃度が高いことは、いずれかの部位における骨折全体のリスク上昇と関連するほか、骨粗鬆症性骨折の発現リスクとも有意に関連していることが判明したとしました。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetologia : Serum adiponectin predicts fracture risk in individuals with type 2 diabetes : the Fukuoka Diabetes Registry
https://link.springer.com/article/10.1007/s00125-017-4369-1