今日、世界の糖尿病患者は4億1,500万人にものぼり、2040年までには6億4,200万人にまで増加すると予測されています。日本国内でもすでに316万6,000人の人が発症・患者さんとなっており、多くの人々が糖尿病そのものはもちろん、数々の合併症リスクにさらされています。このことは健康寿命や医療費の観点から、大きな社会問題のひとつといえるでしょう。
藤田保健衛生大学と第一生命保険が2型糖尿病の悪化予測モデルを構築
こうした糖尿病への対策として、より病態の重篤化や合併症リスクを正確に予測し、個々に適切なタイミングで、最適な健康指導や治療を実施できるようにすることが有効と考えられます。
そこで学校法人藤田学園 藤田保健衛生大学と第一生命保険株式会社では、昨年7月に開始した共同検討で、2型糖尿病の悪化を予測するモデルの開発に取り組み、このほど構築に成功したことを公表しました。22日に正式な発表が行われています。
予測モデルの構築にあたっては、藤田保健衛生大学病院の電子カルテデータに記録されている匿名化済みの132,210人分(うち糖尿病患者は64,059人、その他疾患患者68,151人)の各種検査値や病名、治療内容、診療記録・栄養指導記録などのテキストデータ、継続通院患者の情報から取得した時系列データなどが用いられ、日本IBMのAI関連技術であるWatsonテクノロジーのディープラーニング技術を活用したデータ解析が行われました。
収集されたデータから、予測モデル構築に役立つ特徴量を抽出して精度の高い予測モデルを完成させており、リアルな日本人の生活習慣などを踏まえた世界初の予測モデルとなっています。
疾病管理技術を向上、健康増進・保険サービスなどへの活用も
今回の取り組みにより、まず糖尿病腎症の悪化・非悪化を予測するモデルが生み出されました。糖尿病の合併症の中でも、糖尿病性腎症は進行すると人工透析が必要になるなど、命に関わるものとなり、さらに医療費面でもQOL面でも、大きな負担がかかるようになってしまいます。
この予測モデルは、検体検査などの結果をもとに、腎症を進行レベルによって第1期から第5期までの5ステージでラベル付け、第1期の軽度な患者の病状が180日後にどうなっているか、高い精度で予想することができます。
2つ目のモデルは、指導介入後のHbA1c値改善予測モデルで、合併症発症の重要な指標ともなるHbA1c値に着目し、各種検査値に加えて、主に栄養指導などの指導介入テキストデータから、患者の生活習慣や治療に対する意欲などを分析して構築されたものとなっています。
こちらでは患者指導を行った日から180日後のHbA1c値が改善するか否かを予測することが可能とされています。
さらにこれらのデータ解析を進める中で、各モデルによる180日後の予測が、重篤な症状の長期的発生率と関連するかどうかを検討し、180日後の腎症悪化が将来の透析導入や重篤な合併症の発症に関連することも見出しています。
藤田保健衛生大学と第一生命保険では、今後構築された予測モデルのさらなる精度向上と有効性の検証を行うため、臨床上の知見も踏まえた研究を継続していくとしているほか、糖尿病患者の日々の食事や運動とそれによる変化の相関関係をモデルへと反映させ、より詳細な治療方針や生活習慣アドバイスを提供するヘルスケアサービスの開発を目指していくともしました。
また第一生命保険では、保険事業や関連サービスへの応用も検討しており、糖尿病の予防や改善に寄与する健康増進サービスの提供、より高度なリスク管理基準を設けることによる保険引受基準の拡大、新たな保険商品の開発などを視野に入れています。
一方、藤田保健衛生大学では、こうしたAIの活用で、従来は難しかった多数の実臨床データ解析を行い、より安全で効率の良い医療を提供するための取り組みを進めており、今回の成果が疾病管理技術や指導水準の向上に直接結びつき、よりよい医療の実現が図られていくと考えるとしています。
(画像はプレスリリースより)

学校法人藤田学園 藤田保健衛生大学/第一生命保険株式会社によるプレスリリース(アットプレス)
https://www.atpress.ne.jp/news/138351