高齢者における薬の管理は広く社会問題ともなっており、過剰な治療や薬の投与を受けているケースも少なくないことが指摘されています。糖尿病に関しても、例外ではない可能性が、米国の研究で明らかとなりました。
高齢患者では1割程度に過剰治療か
糖尿病治療は、年齢も考慮した強度で、患者のベネフィットが最大化されるよう、適切に調整された状態でなされなければなりません。とくに高齢患者の場合では、かえってリスクの上昇につながってしまいます。
そこで高齢糖尿病患者における治療の実態調査が、Mattew L. Maciejewski氏らの研究グループによって行われました。その成果をまとめた論文が「Journal if General Internal Medicine」オンライン版に9月13日付で掲載されています。
研究グループでは、米国における10の州で、メディケア請求データをもとに、治療実態の調査・分析を行いました。糖尿病の過剰治療については、HbA1c値が6.5%未満となっているにもかかわらず、メトホルミン以外の治療薬が服用されているケースと定義し、HbA1c値が9.0%を超過したままであるといった治療不十分な患者群との違いについて、どのような特徴が指摘できるか、多項ロジスティック回帰分析を用いて調べたそうです。
75歳以上ではとくに多め
分析の結果、糖尿病治療を受けた78,792人のメディケア受診者のうち、10.9%にあたる8,560人で過剰治療の可能性が強く示唆されました。とくに年齢が75歳以上のメディケイド受給者で多い傾向にあり、逆にヒスパニック系の患者では少ない傾向が認められています。
過剰治療状態から、減薬など糖尿病治療の適切な強度低下処置がなされたケースは全体の14%で、6つ以上の慢性疾患を抱えた患者群、頻繁に外来治療を受けているか、都市部に居住する患者群でより多くみられました。一方75歳以上の患者群では、こうした治療強度を弱める措置がとられたケースがより少ない結果となっています。
治療効果が不十分な過小治療となっている可能性があるのは、全体の6.9%と、過剰治療になっているケースに比べ限定的であることも分かりました。
これらの結果から研究グループでは、メディケア受診者の場合、糖尿病治療が過小となっているケースよりも、過剰であるケースが多く、過剰治療状態から減薬などの適切化が図られることもごく一部でしかみられなかったと結論づけています。
(画像は写真素材 足成より)

Journal of General Internal Medicine : Overtreatment and Deintensification of Diabetic Therapy among Medicare Beneficiaries
https://link.springer.com/article/10.1007/s11606-017-4167-y