2型糖尿病の発症リスクを大幅に高めるものに肥満が挙げられます。肥満は近現代における公衆衛生上の大きな問題のひとつであり、糖尿病のほか、心血管系疾患やがんなどのリスクも上昇させてしまうものであり、健康上、安易に見過ごすことのできない状態です。
驚き!貼るだけのパッチ薬を開発
こうした肥満に対する治療としては、食事制限や運動の実行といった生活習慣の改善のほか、重度の場合に用いられる手術、薬理学的な治療などがありますが、いずれも有効性に限界があったり、過重な負担や深刻な副作用リスクを抱えるものであったりと、十分な効果と安全性を有し、求められる治療選択肢へのニーズを満たすようなものとはなっていないのが現状です。
こうした中、Yuqi Zhang氏、Li Quang氏、Zhen Gu氏らの研究グループが、皮膚に貼りつけるだけで脂肪を減少させられるパッチ薬を開発し、その効果をマウス実験によって確認したと発表しました。研究成果をまとめた論文は「ACS Nano」オンライン版に9月15日付で掲載されています。
極小ニードルで白色脂肪細胞を褐色化
このパッチ薬は、過剰なエネルギーをため込む性質のある白色脂肪細胞を、脂肪やエネルギーの燃焼を促す褐色脂肪細胞へと変化させることで、脂肪量の減少、肥満の改善を図るものです。
パッチは、ごく小さなマイクロニードルを基礎として成り立っているもので、局所的に脂肪組織へとアプローチ、褐色脂肪細胞への変化である褐色化を促進させる薬剤を、皮膚を通して持続的に届け、非侵襲的に治療を行っていくものとなっています。標的領域の脂肪組織へと直接的に届けられるため、副作用も最小限となり、治療効率や安全性も高められると考えられています。
研究グループでは、このパッチ薬を、肥満モデルマウスでテストしたところ、貼りつけた部分の脂肪減少とエネルギー消費の増大を確認することができたほか、生体内における2型糖尿病の改善も確認できたとしています。
肥満症や肥満を伴う2型糖尿病患者にとって、負担が少なく、安全で有効性の高い治療法となる可能性もあり、今後のさらなる研究進展と開発に高い関心が寄せられています。
(画像は写真素材 足成より)

ACS Nano : Locally Induced Adipose Tissue Browning by Microneedle Patch for Obesity Treatment
http://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acsnano.7b04348