日本ではまだあまり一般的ではありませんが、深刻な肥満症がみられる場合、減量手術を行うこともあります。この減量手術を行うことで、体重を減少させられるだけでなく、2型糖尿病が寛解する場合もあり、そうしたケースに関する詳細な分析研究報告がなされました。
脂肪細胞の代謝における減量手術の影響を検討
Thomas Grenier-Larouche氏らの研究グループは、減量手術後に2型糖尿病が寛解した症例について、脂肪細胞のサイズや脂肪細胞代謝などにどのような変化がみられているか、詳細を調べて報告しました。研究成果をまとめた論文が「Diabetes」オンライン版に8月23日付で掲載されています。
一般に、白色脂肪組織の肥大リモデリングは、循環トリグリセリド(中性脂肪・TG)や非エステル化脂肪酸(NEFA)に対する痩せて細く(小さく)なった臓器の過度な曝露と関連し、最終的にインスリン抵抗性をもたらすことが知られています。
肥満症を伴う2型糖尿病患者さんの場合、減量手術を行うことで、2型糖尿病の寛解が、体重減少と関連するメカニズムはもちろん、それとは独立したメカニズムによっても促進されることも判明しています。しかし、脂肪細胞のサイズ縮小や脂肪酸の代謝処理に対する長期的な影響については、これまでよく分かっていませんでした。そこで研究グループでは、こうした減量手術の糖尿病に対する寄与について、より詳細な解明を試みています。
血中トリグリセリドの消失増などと関連、手術後3日で代謝回転が正常化
今回の研究では、減量手術として、十二指腸切開による胆道膵転移(胆膵路バイパス十二指腸スイッチ術・DS)を行い、その後の脂肪細胞サイズなどについて調査研究を進めています。
まず、施術後3日で全身のグリセロール代謝が良好な回転をみせ始め正常化、HOMA-IR指数の低下が確認されました。そして施術から12カ月後には、平均超過体重減少率は84%に達するまでになっていたそうです。
皮下脂肪細胞のサイズが小さいほど、良好な血糖コントロールが達成され、トリグリセリド処理と脂質過負荷時のアシルカルニチン生成の増加が、インスリン感受性の改善と体重減少に伴って生じていることも判明しました。
こうした影響がみられたにも関わらず、全身の非エステル化脂肪酸(NEFA)流動やスピルオーバーには目立った変化が確認されず、脂肪組織の体積に対するNEFA貯蔵容量の増加が、体重減少時の脂肪量減少を補っていることが示唆されたとされています。
これらの結果から研究グループでは、DS施術後の2型糖尿病寛解は、主に血中を循環するトリグリセリド(中性脂肪)の処理が進んで消失が増加することと、脂質過負荷時のアシルカルニチン生成が増加することに関連、全身の脂肪分解低下と良好な脂肪酸処理などに関係していたとまとめました。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes : Fatty Acid Metabolic Remodelling During Type 2 Diabetes Remission After Bariatric Surgery
http://diabetes.diabetesjournals.org/