糖尿病患者は、日々のインスリン注射や経口薬の服薬といった管理を、基本的に自ら行わなければなりません。しかし高齢の患者さんも増加し、加齢に伴う認知機能の低下などから、適切な自己管理が行えなくなるケースも増加しています。注射や服薬の時間、用量が守れなくなると、命に関わる有害事象につながることもあるため注意が必要です。
自己管理可能な認知機能ラインを探る観察研究を実施
こうした自己管理が可能な患者さんかどうかを確認することの重要性が高まっている一方で、認知機能テストなどから、それを判定する基準を考察する研究は、ほとんど行われていません。
そこでTaichi Minami氏、Yasuo Terauchi氏らの研究グループは、高齢の2型糖尿病患者を対象とした後ろ向き観察研究を行い、インスリン治療が可能な自己管理能力についての評価・検討を試みました。その成果をまとめた論文が「Journal of Diabetes Investigation」オンライン版に8月28日付で掲載されています。
まず研究グループは、2014年6月~2016年5月にインスリン治療を開始した60歳以上の2型糖尿病患者57人を対象に、MMSE試験と、動物の名前や「a」、「ka」、「shi」といった特定の頭文字で始まる名詞を、1分間にできるだけ多く思い出して挙げてもらう簡単な言語流暢性試験による認知機能検査を受けてもらいました。
そして、患者が自己管理の技術および能力をどれだけ有しているか判断するため、インスリン自己注射に関する12のチェックポイントを設定、このチェック評価と認知機能との関連性を調べたそうです。
言語流暢性試験で11個以上が最適ラインか
得られたデータで多変量ロジスティック分析を行った結果、MMSE試験などよりも、動物の名前をできるだけ多く挙げてもらう言語流暢性試験が、1週間内にインスリン治療を自己管理できるか否かを予測する、最適な最も信頼できる因子であることが分かりました。
また、挙げられる動物の名前の数として11個が判断ラインとなっており、それ以上思い出せる患者群では、感度73%、特異度91%で、1週間内のインスリン治療に対する自己管理能力の有無を予測することができていたそうです。
これらの結果から研究グループでは、1分間にできるだけ多くの動物の名前を思い出し、挙げてもらうという簡単なテストが、高齢の2型糖尿病患者におけるインスリン自己注射療法の管理能力をチェックする最も有用な指標になっていたとし、そのカットオフ値は11とみることができると結論づけています。
(画像は写真素材 足成より)

Journal of Diabetes Investigation : Predicting the ability of elderly diabetic patients to acquire the insulin self-injection technique based on the number of animal names recalled
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jdi.12732/full