糖尿病を発症すると、心血管系リスクが増大することが知られていますが、これをコントロールしていく上で、メリットをもたらす可能性のある薬の研究結果が、第53回欧州糖尿病学会(EASD)年次集会で発表されました。
週1回投与のエキセナチド、心血管系のリスク全般で上昇なし
これはAstraZenecaが9月14日に発表したもので、同社の「ビデュリオン(Bydureon)」(一般名:エキセナチド)に関するEXSCEL(EXenatide Study of Cardiovascular Event Lowering)試験の全試験結果公開で明らかとなったことです。なおこの研究成果は、同日付で「The New England Journal of Medicine」オンライン版にも掲載されました。
EXSCEL試験は、エキセナチドが該当するグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体作動薬のクラスで、これまで実施された心血管系リスクのアウトカム試験として、規模・多様性とも最大となる患者を組み入れて行われたもので、35カ国687施設、14,500例を超える症例の登録がなされています。
幅広い心血管系リスクを有する2型糖尿病患者さんを対象に、週1回投与のエキセナチドとプラセボ投与を比較、心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中を合わせたMACEの発現率を主要評価項目とし、総死亡率などについても調べました。
総死亡率の低下に寄与する可能性
その結果、エキセナチド投与群での心血管系イベント発現は11.4%にあたる839例、プラセボ投与群での発現は12.2%にあたる905例でみられました。MACEのリスク軽減について、統計学的に有意と認められる差にまでは、わずかに至らなかったものの、発現数を少なく抑えられています。
さらに事前に設定した二次解析の結果、エキセナチド投与群では、総死亡率がハザード比0.86となり、14%低くなることが判明しました。
試験を主導した、オックスフォード大学の糖尿病試験ユニットディレクターであるRury Holman氏は、今回のEXSCEL試験結果により、エキセナチドは2型糖尿病治療に心血管系リスクを増加させることなく用いることができるものだと示すことができたほか、エキセナチドの投与が総死亡の低減に寄与する可能性もあると示唆されたとしています。
同氏は、2型糖尿病患者の総死亡リスクが、糖尿病でない人に比べると最大で2倍、心血管死リスクは4倍になるといわれていることに触れ、全般的な心血管系疾患リスクのある2型糖尿病患者に、エキセナチドの治療がリスクの抑制面でベネフィットをもたらす可能性があるともしました。
(画像はAstraZeneca ホームページより)

AstraZeneca プレスリリース
https://www.astrazeneca.com/The New England Journal of Medicine : Effects of Once-Weekly Exenatide on Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1612917