2型糖尿病を発現すると、さまざまな合併症や疾患のリスクが上昇することが知られており、それらをうまくコントロールすることも重要な治療のポイントとなります。こうした2型糖尿病患者で、とくに心血管系疾患リスクが高まっている人を対象とした、リラグルチドの試験について、新たな分析結果が報告されました。
心血管系疾患リスク・死亡リスクの低下がみられたリラグルチドの副次的解析結果
リラグルチドはグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)アナログ製剤のひとつで、2型糖尿病を有し、心血管系疾患のハイリスク患者とされる人を対象にしたプラセボとのランダム化比較試験で、標準治療に追加すると、主要評価項目である非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心血管系由来の原因による死亡と全死因による死亡のリスクが低下することが、すでに示されています。
しかし、長期にわたる腎臓への影響については不明となっており、その腎アウトカムを評価・検討した結果をまとめた論文が「The New England Journal of Medicine」に8月31日付で掲載されました。
試験の実施と分析を行ったJohannes F. E. Mann氏、John B. Buse氏らの研究グループは、試験に参加した9,340人の患者をランダムに割り付け、4,668人をリラグルチド投与群、4,672人をプラセボ投与群としました。そして中央値3.84年の追跡期間でデータを収集し、副次的評価項目の腎アウトカムについて分析しています。
腎アウトカムについては、持続性顕性アルブミン尿の新規発現、血清クレアチニン値の倍増状態持続、末期腎不全、腎疾患による死亡を調べるものとしました。リスクはintention-to-treatに基づく生存期間の解析で評価し、推算糸球体濾過量とアルブミン尿の変化についても解析を行ったとされています。
糖尿病性腎疾患の発現リスクや進行を抑制
解析の結果、腎アウトカムの発現頻度は、リラグルチド投与群で4,668人中268人、プラセボ投与群で4,672人中337人となり、ハザード比では0.78と、標準治療にリラグルチドを追加投与した群で有意に低くなっていることが分かりました。
この結果に与えた影響としては、持続性顕性アルブミン尿の新規発現が大きく、リラグルチド投与群で161人だったのに対し、プラセボ投与群では215人、ハザード比で0.74となっていました。
一方、急性腎障害の発現率は、リラグルチド投与群で1,000人年あたり7.1例、プラセボ投与群で1,000人年あたり6.2例となるなど、腎有害事象の発現については両群が同程度だったと報告されています。全腎有害事象の発現率は、リラグルチド投与群で1,000人年あたり15.1例、プラセボ投与群で1,000人年あたり16.5例です。
これらの結果から研究グループでは、試験の副次的解析により、標準治療にリラグルチドを追加投与すると、プラセボに比べて糖尿病性腎疾患の発現率と進行を有意に抑制できることが分かったと結論づけました。
(画像は写真素材 足成より)

The New England Journal of Medicine : Liraglutide and Renal Outcomes in Type 2 Diabetes
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1616011