糖尿病はかつて、自己免疫性疾患として発現する1型を除くと、若年期に発病するケースは非常に少なく、ある程度年齢を重ねて現れる疾患でした。しかし近年では、若年層の患者も大幅に増加してきています。
慢性疾患として抱える多面的リスク
若年期に発症すると、早くから著しいQOLの低下を招くことはもちろん、合併症リスクのコントロールとも長く付き合っていかねばなりません。さらにそうした直接的な問題だけでなく、10代後半から30歳までといったまだ若いうちに、糖尿病をはじめとする慢性疾患を発現すると、同世代の人に比べ、自殺を図るリスクも増大することが新たに報告されました。
この研究は、Mark A. Ferro氏らのグループによって、カナダでなされたもので、その成果をまとめた論文が「The Canadian Journal of Psychiatry」に8月17日付で掲載されています。
研究グループは、カナダの精神衛生状態に関する全国調査に参加した15~30歳の男女5,248人を対象に、糖尿病など慢性疾患を有している患者群と、そうでない群とで、12カ月の間に自殺念慮を抱いたり、自殺を企図したり、また実際に自殺を図ったといったケースがどの程度みられたか、比較検討を行いました。
自殺を企図したり実行したりしたケースと、精神障害の発現については、「World Health Organization Composite International Diagnostic Interview 3.0」に基づいてチェックし、多項ロジスティック回帰分析モデルによって、関係性を評価しています。
疾患の状態とともにメンタルにも注意を
分析の結果、若年期に慢性疾患を有するものとなった患者の群では、同年代のそうでない群に比べ、有意に自殺リスクが高くなっていることが認められました。
結果に影響を与え得る関連因子によるデータ調整を行った上での解析でも、自殺念慮を抱くリスクは1.28倍、自殺を企図するリスクは2.34倍、実際に自殺を図るリスクは4.63倍となっていたそうです。
また気分障害を併発するとさらにそのリスクは高まり、慢性疾患を有する患者で気分障害もある群では、気分障害を併発していない群に比べ、自殺を考える確率が中央値で1.89倍になっていたことも報告されています。
これらの結果から研究グループでは、因果関係は明らかになっていないものの、若いうちに糖尿病など慢性疾患にかかった患者では、自殺念慮や企図リスクが高まり、より一般的にみられるようになること、気分障害などの精神疾患と併発すると、さらにそのリスクは高まってしまうことが分かったとし、臨床においては、慢性疾患の治療・病態管理だけでなく、精神面にも十分配慮すべきであるとまとめました。
(画像は写真素材 足成より)

The Canadian Journal of Psychiatry : Suicidal Behaviour Among Adolescents and Young Adults with Self-Reported Chronic Illness
http://journals.sagepub.com/