糖尿病を発症すると、心血管系イベントリスクが上昇することは、すでにこれまでの研究で明らかとなってますが、こうした心血管系のリスク因子を中年期にもつと、その後の認知症リスクも高まることが、最新の研究で報告されました。
15,000人超の大規模追跡調査研究で検証
研究を行ったのは、Rebecca F. Gottesman氏らのグループで、彼らは糖尿病や喫煙習慣、高血圧症状など、中年期における心血管系リスク因子と年齢を重ねた後の認知症リスクとの関連性を調査しました。研究成果をまとめた論文は、「JAMA Neurology」オンライン版に8月7日付で掲載されています。
研究グループは、動脈硬化のリスクを検討する前向きコホート研究として実施されたAtherosclerosis Risk in Communities(ARIC)試験で、1987年~1989年に中年期(44~66歳)だった被験者15,744人を対象とし、2015年4月~2016年8月まで追跡調査を実施し、リスクの関連性を調べました。被験者については、27.1%が黒人系、72.9%が白人系だったとされています。
被験者においては、APOEε4遺伝子の存在のほか、ベースライン時における肥満、喫煙習慣の有無、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症などについて調べ、人口統計学的データや心血管系のリスク因子に関する測定データを得ました。
追跡期間においては、直接訪問による面談や入院時チェック、電話調査、複数回にわたる認知評価テストなどが行われています。ほかに、ARIC-NCS訪問に参加しなかった被験者に対するインタビューや国際疾病分類、第9改訂認知症コードなどによる追加症例の同定もなされました。
中年期の心血管系リスクが高ければ認知症発症リスクも上昇
15,744人の被験者のうち、追跡期間に認知症を発症したのは1,516人でした。発症した人のうち57.0%が女性で、34.9%が黒人系、平均年齢は57.4歳となっています。
収集されたデータをもとに、結果に影響を与え得る関連因子のデータ補正を行った上で、Cox比例ハザード回帰モデルによる解析を実行したところ、黒人系のハザード比は1.36、60~66歳の被験者に限った加齢のハザード比は8.06となり、高等学校教育以下の教育水準におけるハザード比は1.61になっていました。
認知症リスクとの関連が明らかにされているAPOEε4遺伝子型のハザード比は1.98で、中年期における喫煙習慣はハザード比1.41、糖尿病を有する場合のハザード比は1.77、血圧が高めの高血圧前症の場合は1.31、高血圧症では1.39だったそうです。中年期における糖尿病は、APOEε4遺伝子による認知症リスクの上昇と同程度に高く、中でも関連性が高い可能性が示唆されています。
研究グループでは、中年期における糖尿病や喫煙、高血圧といったものによる心血管系イベント発現のリスク因子は、認知症を発現するリスクの増加と有意に関連しており、とくに糖尿病などに気をつけることで、認知症リスクをコントロールできる可能性があるとしました。また、これらの影響に関する詳細なメカニズムと、リスク低減につながる効果的な予防について、さらなる研究が必要とも結論づけています。
(画像は写真素材 足成より)

JAMA Neurology : Associations Between Midlife Vascular Risk Factors and 25-Year Incident Dementia in the Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC) Cohort
http://jamanetwork.com/