糖尿病の合併症にはさまざまなものがありますが、手指における合併症のひとつに関節を無理なく動かせる範囲内が狭まる、関節可動制限がしばしばみられます。これは、糖尿病性細小血管障害と密接に関わるものであることが知られていますが、無症候性動脈硬化症とも関連することを示した研究結果が、新たに報告されました。
日本人2型糖尿病患者での検討で明らかに
研究を行ったのは、Yusuke Mineoka氏、Michiaki Fukui氏らのグループで、その成果をまとめた論文は「Diabetes Research and Clinical Practice」オンライン版に7月20日付で掲載されました。
研究グループは、日本の2型糖尿病患者341人を対象に、関節可動制限と頸動脈超音波検査によって評価された頸動脈内膜厚とプラークスコアとの関係性を検討する横断研究を行いました。関節可動制限の有無については、“祈りのサイン”や“テーブルテスト”を行ってもらうことにより診断しています。
確認しやすい関節可動制限で無症候性の動脈硬化症を発見可能か
まず被験者となった341人のうち、72人の患者で手の関節可動制限がみられました。この関節可動制限がある患者と、確認されなかった残りの患者を比較すると、頸動脈内膜厚は関節可動制限ありの患者で中央値1.45mm、ない患者で中央値1.14mmと関節可動制限のある患者の方が厚くなっていました。
またプラークスコアについては、関節可動制限のある患者で中央値8.0mm、ない患者で中央値5.4mmとなり、関節可動制限ありの患者群で有意に高い値となっていることが分かりました。
年齢や性別、糖尿病罹病期間、BMI値、HbA1c値、クレアチニン、尿酸、喫煙習慣の有無、高血圧症、脂質異常症といった影響を与える因子による調整を行った後の多変量線形回帰分析を行っても、関節可動制限の有無とプラークスコアには有意な関連性が認められ、正の相関関係にあることが判明しています。
これらの結果から研究グループでは、2型糖尿病患者における手指の関節可動制限は、無症候性の動脈硬化症、とくに頸動脈超音波検査で分かるプラークスコアと有意に関連していることが分かったとし、非侵襲的で、日常的な診療でもチェックしやすい手指の診断が、無症候性動脈硬化症の評価指標として有用なものになる可能性が示唆されたとまとめました。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Research and Clinical Practice : Relationship between limited joint mobility of hand and carotid atherosclerosis in patients with type 2 diabetes
http://www.diabetesresearchclinicalpractice.com/