ヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬として、糖尿病治療に用いられているエキセナチドが、パーキンソン病の治療薬としても有効であるという可能性が指摘され、注目を集めるところとなっています。
パーキンソン病の進行を食い止める画期的効果を確認と発表
研究を行ったのは、Dilan Athauda氏、Thomas Foltynie氏らのグループで、その成果をまとめた論文が「Lancet」オンライン版に8月3日付で掲載されました。
研究グループは、2014年6月18日~2015年3月13日の期間、25~72歳のパーキンソン病を有する患者62人を対象に、ランダム化二重盲検プラセボ比較試験として調査研究を実施、エキセナチドのもたらす効果を検証しています。
62人の被験者は、通常の治療に加え、週に1回エキセナチド2mgの投与を受ける群32人と、プラセボ投与を受ける群30人とに、ランダムに割り付けられました。投与は48週間継続され、12週ごとにフォローが実施されています。
被験者患者の治療開始時点におけるパーキンソン病の病態は、Hoehn and Yahrステージで2.5以下であり、ランダム化を行うにあたっては、重症度に応じた2つのブロックを考慮したWebベースでのランダム化を施すものとしました。
投与中止後も効果は持続、さらなる研究に期待
パーキンソン病への効果は、運動障害学会が用いるParkinson's Disease Rating Scale(MDS-UPDRS)のPart3によってみるものとし、筋肉の固縮や手足の震え、動作の鈍化などの同疾患に特徴的な運動症状を評価しています。
分析の結果、治療開始から60週後で、MDS-UPDRSのスコアは、エキセナチドを投与した群では1.0ポイント改善し、2.1ポイントに、プラセボ群との差は、関連因子の調整後で平均マイナス3.5ポイントになり、エキセナチドを投与した群が有意に優れているものとなりました。
注射部位における反応や胃腸症状は、両群とも一般的な有害事象で確認されているものと同様であり、期間中、エキセナチド投与群で6件、プラセボ投与群で2件の重大な有害事象が発生したものの、いずれも今回の介入に直接関連するものとは判断されていません。なお、エキセナチドでみられたパーキンソン病に対する効果は、投与中止後も持続されたと報告されています。
研究グループでは、エキセナチドが、パーキンソン病の根本的な病態生理に影響を及ぼすのか、それとも一定の長期にわたる症状への効果をもたらすにとどまるものなのかは不明であるとしつつも、すでに安全性が確立されている治療薬として、糖尿病とともに有望な可能性があることが示唆されたとして、今後のさらなる研究で検討を重ねたいとしました。
(画像は写真素材 足成より)

Lancet : Exenatide once weekly versus placebo in Parkinson's disease : a randomised, double-blind, placebo-controlled trial
http://www.thelancet.com/