深刻な肥満症患者に用いられる減量手術のひとつである、ルーワイ胃バイパス手術に関し、これを施すことによる全死因の死亡率低減効果には、手術の際、その患者が糖尿病を有しているか否かで違いがあることが最新の研究で明らかとなりました。
手術を受けた患者を対象に中長期的な追跡調査を実施
研究はMichelle R. Lent氏らのグループによってなされたもので、手術を受けた患者を追跡調査することにより、糖尿病の有無による全死因死亡率への影響の違いを評価・検討した結果がまとめられています。論文は「Diabetes Care」オンライン版に7月31日付で掲載されました。
研究グループは、2004年1月から2015年12月までにルーワイ胃バイパス手術を受けた患者3,242人のデータをもとに、調査を実施しました。同定できた患者2,428人のうち、手術時に糖尿病を有していた患者は625人、そうでない患者は1,803人だったそうです。
追跡調査は糖尿病を有していた患者で中央値5.8年、非糖尿病の患者で中央値6.7年にわたって実施されました。死亡率に対する効果を評価するにあたり、電子健康記録から、ルーワイ胃バイパス手術を受けた患者と、手術時の年齢やBMI値、性別、糖尿病の有無といった属性が合致する手術未実施の人のデータが、対照群データとして抽出されています。
糖尿病患者では全死因による死亡リスクが手術で有意に低下
分析の結果、ルーワイ胃バイパス手術を受けた患者の全死因による死亡率は、手術時に糖尿病のあった患者群では、対照群に比べて有意に低減されており、データ調整後の値でそのハザード比は0.44となっていました。
一方、手術時に糖尿病を発現していなかった患者群の全死因死亡率では、対照群と比べ、有意に改善したとは認められませんでした。こちらのデータ調整後ハザード比は0.84になっています。
とくに心血管系疾患による死亡、呼吸器系の状態に起因する死亡、糖尿病に起因する死亡は、ルーワイ胃バイパス手術を受けた糖尿病を有する患者群に比べ、手術を受けていない糖尿病のある対照群で、より高頻度にみられました。
ルーワイ胃バイパス手術を受けた非糖尿病患者群では、手術を受けていない非糖尿病の対照群に比べて、がんによる死亡、呼吸器系疾患による死亡の可能性が低い傾向も確認されましたが、意図的な自傷行為を含むその他要因による死亡リスクが、非糖尿病の比較対照群より高くなっていたそうです。
これらの結果から研究グループでは、ルーワイ胃バイパス手術を実施することでもたらされる全死因死亡率の低減効果は、主に手術の際、その患者が糖尿病を発症しているかどうかに左右されるとし、糖尿病がある場合にはルーワイ胃バイパス手術を受けることで、心血管系疾患や糖尿病、呼吸器系の状態に起因する死亡可能性を抑制できる可能性があるとまとめました。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : All-Cause and Specific-Cause Mortality Risk After Roux-en-Y Gastric Bypass in Patients With and Without Diabetes
http://care.diabetesjournals.org/