2型糖尿病患者では、高血糖症状やインスリン抵抗性、膵β細胞の機能不全などに加え、その多くで膵ランゲルハンス島におけるアミロイド沈着がみられます。このアミロイド沈着は、膵アミロイドポリペプチド(IAPP)と呼ばれる、折りたたみ不全のタンパク質沈着で、2型糖尿病に特徴的なものであることが分かっています。
特徴的にみられる膵島アミロイド沈着の意味を検証
しかし、こうした膵島アミロイド沈着がなぜ発生し、どのような意味を持っているのかは判明しておらず、2型糖尿病の発症や病態進行とどう関わっているのかも、依然不明となっていました。
そこで今回、Abhisek Mukherjee氏、Claudio Soto氏らの研究グループは、この2型糖尿病における膵島アミロイド沈着について詳しい解明を進めるべく、マウスやヒト膵臓組織を用いた研究を行いました。研究の成果をまとめた論文は、「Journal of Experimental Medicine」のオンライン版に8月1日付で掲載されています。
研究グループは、まずマウスにIAPPの凝集体を腹腔内接種によって投与し、人工的にアミロイド沈着を促進させて観察を試みました。すると膵β細胞の死亡や減少、高血糖症状、耐糖能異常といった2型糖尿病に典型的な異常が確認されるようになったそうです。
プリオン病などと似た機序で発症?
次に、代謝異常のない健常な人から採取し、培養したヒト膵臓組織にもIAPPを投与したところ、IAPPが組織に沈着、アミロイド沈着の劇的な促進が起きることが分かりました。一方で抗IAPP特異的抗体により、処理を施した膵島ホモジネートでは、IAPPの凝集、沈着は導かれなくなったとされています。
IAPPの沈着や糖尿病に特有な異常は、培養器で調整した純粋な合成IAPPの投与によって、生体内でも誘導されることが確認されており、これら一連の結果から研究グループでは、インスリン分泌量の増加に伴って増えたIAPPの産生が、膵臓に沈着していくことで異常に折りたたまれたタンパク質の沈着が増加、膵β細胞死につながるというメカニズムで、膵島アミロイド沈着が2型糖尿病の発症や病態進行と関連しているのではないかとみています。
こうした沈着から発症につながるという病理学的、臨床的変化などは、プリオン病とも似ており、同疾患のプリオン増殖メカニズムと同様の伝達方式になっている可能性があるとも指摘しました。
(画像は写真素材 足成より)

Journal of Experimental Medicine : Induction of IAPP amyloid deposition and associated diabetic abnormalities by a prion-like mechanism
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