糖尿病治療は日々進化しており、用いられる治療薬もさまざまなタイプが登場してきています。2型糖尿病を患っている場合、心血管系疾患を発現するリスクが有意に高くなることが知られているため、治療においては、糖尿病とともに、こうしたリスクの管理も徹底していく必要があります。
カナグリフロジン投与がバイオマーカー上昇の抑制に寄与
この心血管系疾患リスクとの観点で治療薬を考える際に、重要な知見をもたらすと考えられる最新の研究報告が「Journal of the American College of Cardiology」に8月8日付で掲載されました。高齢2型糖尿病患者では、SGLT2阻害薬のカナグリフロジン投与が、心血管系疾患リスクを有意に下げるとされています。
研究を行ったのはJames L. Januzzi Jr.氏、Michael J. Davies氏らのグループで、彼らは、55~80歳の2型糖尿病患者666人を対象とし、カナグリフロジンを1日あたり100mg投与する群、1日あたり300mg投与する群、プラセボを投与する群に無作為で割り付けて約2年間観察研究を行った、二重盲検ランダム化比較試験のデータを用いて、分析を試みました。
調べた項目は、ベースラインから26週、52週、104週の各時点におけるN末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)、高感度トロポニンI(hsTnI)、可溶性ST2(sST2)、血清ガレクチン-3血中濃度の変化率といった心血管系のバイオマーカーです。
2年以上優位性を維持、新たなメリットに
分析の結果、NT-proBNPとhsTnIでは、プラセボ群で値の上昇が確認されたのに対し、カナグリフロジンを投与した群では、追跡期間中、いずれの群もほぼ変化のない水準を維持でき、血清中濃度の上昇が有意に抑制されていました。
26週、52週、104週のそれぞれの時点におけるカナグリフロジン投与群とプラセボ投与群の変化率の差をHodges-Lehmann推定量として算出すると、NT-proBNPでは-15.0%、-16.1%、-26.8%となり、hsTnIでは-8.3%、-11.9%、-10.0%となったそうです。
一方、sST2の推移では、カナグリフロジン投与群とプラセボ投与群で、いずれにおいても追跡期間中の有意な変化は確認されていません。またガレクチン-3血中濃度については、プラセボ群よりもカナグリフロジン投与群で、ベースライン時からの上昇がみられ、26週時点と54週時点では両群間に有意な差がありましたが、104週時点になると、この差が消失していたと報告されています。
これらの結果から研究グループでは、高齢の2型糖尿病患者の場合、SGLT2阻害薬のカナグリフロジンによる投与治療を行えば、NT-proBNPやhsTnIといったバイオマーカーの上昇を、2年超にわたって抑制することができることが分かったとし、ここから心血管系疾患リスクに対するカナグリフロジン投与のメリットが確認できるとまとめました。
(画像は写真素材 足成より)

Journal of the American College of Cardiology : Effects of Canagliflozin on Cardiovascular Biomarkers in Older Adults With Type 2 Diabetes
http://www.onlinejacc.org/content/70/6/704