近年では日本でもケーキやジャムなどの材料として使われるほか、生のものも比較的手に入りやすくなったラズベリーですが、その栄養成分は、人々の健康に対しさまざまな良い効果をもたらすことが分かってきました。今年になっても新たな研究結果が報告され、注目を集めています。
糖尿病にも合併症にも、老化にも有効か
ラズベリーは、バラ科キイチゴ属に属する低木の果実で、フランボワーズとも呼ばれています。古くから欧米で盛んに育てられ、品種改良も盛んに施されてきました。
ヨーロッパではフルーツとして食べるだけでなく、滋養強壮に、美容と健康の維持につながるメディカルハーブとしても重宝され、薬として用いられてきた歴史もあります。中国においても、フクボンシの名で古くから生薬として利用されていました。
なぜラズベリーがそのような力をもつのかについては、最近まで明らかになっていませんでしたが、徐々にその含有成分がもつ効果が研究によって解明されてきています。
まず香り成分であるラズベリーケトンは、唐辛子に含まれるカプサイシンに似た分子構造をしており、その3倍程度にもなる脂肪燃焼効果をもつことが分かっています。これは脂肪を分解する酵素と脂肪の結合を促進するためとみられ、肥満や高脂血症の改善につながる可能性があります。また食物繊維が豊富で、コレステロールや糖質、老廃物など、腸管からの再吸収を阻害することから、糖尿病や高血圧の予防にも良い効果をもたらすとされているのです。
さらにアントシアニンも多く含むため、抗酸化作用や抗炎症作用が発揮され、心血管疾患の予防にもつながるとされます。ほかにエラグ酸と呼ばれる物質は、赤いラズベリーに最も多く含まれるといわれ、高い抗酸化作用や美白効果を発揮、全身の老化を防ぎ、美容にもうれしい効果が期待できるとみられています。
アルツハイマー病にも?今後のさらなる研究に期待
今年、Britt M Burton-Freeman氏をはじめとする米国の研究チームによって、新たに発表された研究結果では、赤いラズベリーについて、さらなる健康効果との関連性が報告されています。なおこの論文は、「Advances in Nutrition」に掲載されました。
それによると、研究チームは、食生活は糖尿病、心血管疾患、肥満、アルツハイマー病の発症リスクと大いに関係しており、これまでの研究でラズベリーの成分が、その抗酸化作用や抗炎症作用を発揮することで、この糖尿病や心血管疾患、動脈硬化、肥満に対する良好な効果をもたらすと判明しているため、同様にアルツハイマー病にも効果が期待されるのではないかと予測したといいます。
糖尿病などと認知症、アルツハイマー病のリスクには、密接な関連があるといった研究も報告されてきているため、この仮説には一定の合理性があるとみられます。
発表論文で取りあげられたこれまでのアルツハイマー病に対するラズベリーの研究は、細胞レベルのもので、先のエラグ酸がアルツハイマー病発症の鍵になるアミロイドβの形成と神経障害に関し、これを改善することを報告したものとなっています。
ヒトレベルで実証されたものではなく、まだ研究としては不十分な段階ですが、糖尿病やその他深刻な合併症について、またアルツハイマー病などについても、ラズベリーが予防に効果を発揮してくれる可能性があります。
バランスの良い食生活と運動が基本であり、いくらその効果が期待されるからといって、ラズベリーばかりを摂取したり、大量に摂ったりすればよいというものではありませんが、日々の健康維持に、プラスしてみるとよいかもしれませんね。
(画像はイメージです)

Advances in Nutrition : Red Raspberries and Their Bioactive Polyphenols : Cardiometabolic and Neuronal Health Links
http://advances.nutrition.org/content/7/1/44