近年、糖尿病を患う人は世界中の国・地域で増加しており、その治療にかかる医療費負担も年々増大してきています。しかし、各国における疾患に関する経済的負担を、ひとつの枠組みで比較することは難しく、研究方法やデータタイプの違いといった問題もあることから、なかなか実態を明らかにすることはできていませんでした。
2015年の成人糖尿病患者で世界の経済的負担を推計
今回、Christian Bommer氏らの研究グループは、統一的な枠組みを用いた2015年における20~79歳の成人糖尿病患者を対象に、世界全体の経済的負担を推計する試みを実施、その結果を報告しました。研究の成果をまとめた論文が「The Lancet Diabetes & Endocrinology」のオンライン版に4月26日付で掲載されています。
研究グループでは、184カ国の疫学的・経済的データを入手し、1型・2型といった糖尿病のタイプにかかわらず、糖尿病全体で発生している世界の経済的負担を推計しました。直接的なコストは、WHOの一般医療支出データと、国際糖尿病連合の2015年における罹患率データをもとに、トップダウン式アプローチを用いて算出、間接的コストについては、糖尿病関連の罹患率と早期死亡率を含む人的な資本アプローチから算出したそうです。
低所得国・貧困層にも広がる糖尿病医療費負担
その結果、2015年における世界的な糖尿病の経済的コストは、1兆3,100億ドルで、この値は世界全体のGDPにおける1.8%を占めるまでになっていることが明らかとなりました。間接的なコストについては、国・地域によって、その内容割合と構成に大きな違いがみられましたが、率にすると総負担額の34.7%を占めていたとされています。
地域別では、北米地域がGDPに対し最も影響を受けたエリアとなっており、世界全体の絶対的コストに対しても最大の寄与を果たす、シェアの大きなエリアになっていました。平均的にみて、中所得国で、高所得国よりもGDPに対する経済的負担が大きい傾向にあり、患者は疾病そのものとともに治療の費用面でも苦しい状況に置かれていると考えられる結果になりました。
研究グループでは、糖尿病によって生じる世界の経済的負担はきわめて大きなものであると指摘したうえで、さらに低所得国や中所得国に関しては、限られたデータしか得られなかったものの、糖尿病関連費として必要になる費用の高さは、高所得地域に限られたものではなく、世界全体に広がってきており、貧困地域にも大きな負担として影響を与えるところになっていることが示唆されたとしています。
(画像は写真素材 足成より)

The Lancet Diabetes & Endocrinology : The global economic burden of diabetes in adults aged 20–79 years: a cost-of-illness study
http://www.thelancet.com/