赤ワインやピーナッツ、ベリー類、ブドウの皮などには抗酸化物質で、ポリフェノールの一種であるレスベラトロールが含まれています。このレスベラトロールは、アンチエイジング効果などが期待されるとして、関連サプリメントなども多数販売されていますが、このレスベラトロールを摂取すると、2型糖尿病患者の場合、動脈壁の硬化が改善される可能性があるようです。
小規模研究で確認した結果が学会発表に
これは、米国で5月4日~6日にかけて開催された、米国心臓協会(AHA)の定期学術集会である「Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology/Peripheral Vascular Disease(ATVB/PVD 2017)」のプレゼンテーションで発表された新たな知見で、4日にAHAからも概要が公開されています。
動脈スティフネスとも呼ばれる動脈壁硬化は、動脈壁が分厚くなって硬くなり弾性を失うもので、血管の内腔が狭くなって血液の流れが悪くなるなどし動脈硬化が進展、心筋梗塞や脳卒中を引き起こしやすくなります。糖尿病患者、とくに肥満を伴う患者では、動脈硬化が進みやすいことが分かっており、これによって脳心血管系イベントの発現リスクが高まるとされています。そのため動脈壁硬化を防ぐことは、大いに臨床的意義のあることと考えられます。
研究を行ったのは、Naomi M. Hamburg氏らのグループで、肥満を伴う2型糖尿病患者57人を対象に、レスベラトロールの摂取と動脈壁硬化の関連性について検討しました。対象患者の平均年齢は56歳、52%が女性で、67%はアフリカ系アメリカ人でした。
患者らは、レスベラトロールを1日あたり100ミリグラム2週間摂取し、その後1日あたり300ミリグラムを2週間摂取する群と、プラセボを4週間摂取する群に無作為で割り付けられました。動脈壁硬化の進展度は、頸動脈から大腿動脈への脈波伝播速度により評価しています。
動脈壁硬化が既に進んだ患者で効果的?
研究の結果、全対象患者における解析で、レスベラトロール摂取群で大動脈の動脈壁硬化に改善傾向が認められましたが、プラセボ摂取群との比較では、改善率に統計学的有意差は認められませんでした。
一方で、ベースライン時に既に動脈硬化が進展していた患者23人に対象を絞り込んで解析を行うと、100ミリグラムを投与した最初の2週間で4.8%、300ミリグラムの投与まで終了した4週間後の時点で9.1%、動脈壁硬化の状態が改善していることが分かりました。これに対し、プラセボ摂取群では動脈壁硬化の状態がさらに進んでおり、レスベラトロールの摂取によって大きな差が現れることがうかがわれる結果になっていました。
レスベラトロールに関しては、これを摂取すると、長寿遺伝子のSIRT1が活性化するという事実が、動物を用いた基礎研究で明らかにされています。そこで研究グループでは、対象患者のうち7人から血管内皮細胞を採取して、このSIRT1遺伝子活性を調べてみたところ、レスベラトロールの摂取によって、わずかながら活性上昇を確認することができたそうです。
これらの結果から、レスベラトロールを摂取すると、ヒトにおいても長寿遺伝子が活性化し、動脈硬化を改善するなどの良好な効果がもたらされている可能性があると考えられました。動脈壁硬化が進んでいる患者で、その状態を短期に改善できる可能性が見出されたことは、非常に興味深いといえるでしょう。
なお、レスベラトロールのサプリメント摂取などで、こうした効果が期待できる、2型糖尿病患者における脳心血管系イベントの発症リスク低減を図れるとするには、現段階でエビデンスが十分ではなく、時期尚早であるとし、今後長期的な研究によって検討を進めていく必要があるとの注意喚起もなされています。
参考情報にとどめておく冷静さが大切ですが、さらなる研究の進展に期待したいですね。
(画像は写真素材 足成より)

AHA プレスリリース
http://newsroom.heart.org/