多くの人々が患う糖尿病に対しては、日進月歩、さまざまな治療法の研究・開発が進められています。その中には水素の効果に注目する向きもあり、そうした流れに位置する研究の最新結果として、モデルマウスにおける水素注射の効果が報告されています。
マウス実験で皮下注射により2型糖尿病の状態が改善
研究を行ったのは、Xiaolong Zhang氏、Fangyan Wang氏らのグループで、研究の成果をまとめた論文は「Journal of Diabetes Investigation」オンライン版に4月8日付で掲載されました。
研究グループはこの実験で、高脂肪食の投与と低用量ストレプトゾトシンの処置によって作製した2型糖尿病モデルマウスを用い、水素の皮下注射がどのような効果をもたらすか検証しています。
作製した2型糖尿病モデルマウスに、週あたり1mlの水素を皮下注射するかたちで4週間投与、そのような治療処置を行わない対照モデルマウスと比べて、2型糖尿病関連のパラメータがどのように変化するかをチェックしました。
糖尿病性腎症の進行抑制効果も
観察期間において、水素注射を行ったモデルマウスの体重には変化がみられませんでした。未治療のモデルマウスと比べて、水素注射のマウスでは、血糖、インスリン、悪玉コレステロール(LDL-C)、トリグリセリド(中性脂肪・TG)の値が有意に低くなっていることが認められ、善玉コレステロール(HDL-C)は逆に有意に高い値となっていることが確認されました。
水素注射マウスでは、耐糖能やインスリン抵抗性にも改善傾向がみられ、さらに糖尿病性腎症に関する分析で、尿量や尿中総タンパク、β2ミクログロブリン、体重に対する腎臓の比率、腎線維症レベルといった各指標の有意な減少・改善も認められたそうです。
こうした結果から研究グループでは、水素皮下注射は、モデルマウスにおける2型糖尿病と糖尿病性腎症に関連する転帰を有意に改善するとみられ、臨床的に有効である可能性が高いと結論づけています。
現在はマウスでの研究という段階ですが、今後、人に対する安全性や有効性が確認されれば、新たな治療アプローチとして検討されていくかもしれません。
(画像は写真素材 足成より)

Journal of Diabetes Investigation : Subcutaneous injection of H2 is a novel effective treatment for type 2 diabetes
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jdi.12674/full