近年、2型糖尿病を発症すると、認知症のリスクも高くなるといわれていますが、このことに関する新たな研究結果が報告され、注目を集めています。それによると、過体重や肥満状態にある2型糖尿病患者では、脳の一部における灰白質の厚みが薄くなり、萎縮が進んでいることが確認されたそうです。
適正体重の患者と肥満傾向の患者とを比較
研究を行ったのは、Sujung Yoon氏、In Kyoon Lyoo氏らのグループで、その成果をまとめた論文は「Diabetologia」オンライン版に、4月27日付で掲載されました。
研究グループでは、過体重や肥満が2型糖尿病における血糖コントロールなどをより悪化させたり、良好に保つことを難しくしたりすることはすでに知られていますが、脳構造や認知機能への影響について詳しく検討した研究はあまりないため、今回、2型糖尿病発症後早期の患者を対象に、脳と認知機能への影響を調べたとしています。
体重管理の重要性があらためて明らかに
分析の結果、適正な平均的体重を保っている2型糖尿病患者のグループに比べ、過体重または肥満を合併する2型糖尿病患者のグループでは、MRI検査を行ったところ、脳の一部で灰白質の厚みが全体として薄くなっていることが分かりました。
また、過体重または肥満のある患者では、糖尿病の罹病期間と灰白質の完全性(正常な厚みに近いかどうか)に負の相関関係があることも認められ、長く患うほど脳構造に与える影響も大きくなることが示唆されました。一方で、適正体重の患者では、こうした相関関係は確認されていません。
さらに、過体重または肥満のある2型糖尿病患者では、罹病期間の長さに応じ、認知機能・精神運動機能の速度が低下する傾向も認められました。これも適正体重の患者では、みられない傾向でした。
今回の結果だけでは、脳構造や認知機能に及ぼされた影響が、過体重や肥満によるものか、2型糖尿病との併存によるものか、またこの併存によってインスリン抵抗性や炎症の度合い、血糖コントロール不良が高確率で生じていることによるのか、確定することはできませんが、同じ2型糖尿病患者でも、過体重または肥満があるか、適正体重であるかによって、脳構造と認知機能への影響に違いがみられたことは注目すべきところといえるでしょう。
研究グループでは、発症して間もない段階から、過体重または肥満のある2型糖尿病患者では、脳構造および認知機能において、より深刻で進行性の高い異常が生じるとし、体重管理の重要性を訴えています。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetologia : Brain changes in overweight/obese and normal-weight adults with type 2 diabetes mellitus
http://link.springer.com/article/10.1007/s00125-017-4266-7