糖尿病を患うと、さまざまな合併症や他の疾患リスクの上昇を発現することが知られていますが、中でも眼疾患としての糖尿病黄斑浮腫(DME)と糖尿病網膜症(DR)は、発生率の高さとQOLの著しい低下で注目されるところです。
DMEに用いる薬剤がDRの悪化抑制にも有効
糖尿病黄斑浮腫は、糖尿病網膜症に合併することのあるもので、網膜にある黄斑という部分がむくみ、網膜症としては初期の段階でも急激に視力が低下する病気です。今回、この糖尿病黄斑浮腫の治療で用いられる抗VEGF薬が、糖尿病網膜症の重症度に与える影響について、検討した結果が新たに報告されました。
研究を行ったのは、Susan B. Bressler氏らのグループで、その成果をまとめた論文が「JAMA Ophthalmology」オンライン版に4月27日付で掲載されています。
研究グループでは、抗VEGF薬であるアフリベルセプト、ベバシズマブ、ラニビズマブの3薬いずれかで治療を受けた、中心窩に及ぶ糖尿病黄斑浮腫を生じている2型糖尿病患者650人を対象に実施した有効性試験のデータ比較二次分析を実施、糖尿病網膜症の状態変化を検討しました。
患者は2012~2013年に無作為で割り付けられ、4週間ごと2年間の該当薬剤投与治療を受けています。網膜症の改善・悪化に関する評価は、この治療期間中になされました。試験全体の終了は2015年9月23日です。
対象患者650人のうち、46.5%にあたる302人が女性、平均年齢は61歳でした。非増殖性の網膜症(NPDR)が495人、増殖性のDR(PDR)が155人と確認されています。
薬剤により効果に違いも、選択時の判断材料に
分析の結果、治療開始から1年後の時点で、NPDRの患者の423眼のうち、アフリベルセプト投与群の141眼中44眼(31.2%)、ベバシズマブ投与群の131眼中29眼(22.1%)、ラニビズマブ投与群の151眼中57眼(37.7%)で、糖尿病網膜症(DR)の重症度が改善していました。
2年間の治療後では、アフリベルセプト投与群の33眼(24.8%)、ベバシズマブ投与群の25眼(22.1%)、ラニビズマブ投与群の40眼(31.0%)にDRの改善傾向が認められましたが、それぞれの有意な群間差はみられていません。
ベースラインでPDRと判定された患者のうちの93眼では、1年間の治療により、アフリベルセプト投与群でDRが75.9%改善、ベバシズマブ群では31.4%の改善、ラニビズマブ投与群では55.2%の改善がみられました。なお、これらのDRに対する改善率の差は、2年間の治療後時点でも維持されていたそうです。
また、2年目にはNPDR患者の59.5%、PDRの70.0%で、注射投与回数が減少していましたが、そうした回数減少にかかわらず1年目の改善傾向は2年間維持されていたことも報告されています。
治療期間中における網膜症の悪化累積率は、7.1%~10.2%、17.2%~26.4%の範囲内で、それぞれの薬剤治療における統計学的に有意な差は認められませんでした。
これらの結果から研究グループでは、アフリベルセプト、ベバシズマブ、ラニビズマブの抗VEGF薬3種について、いずれもDME治療として用いることで、DRの悪化を抑制することが判明したとしました。あわせて、治療1年時点では、アフリベルセプト、ラニビズマブに比べ、ベバシズマブでの改善が少ない傾向にあるなど、それぞれに違いもあると指摘し、こうした知見とデータがDME治療で抗VEGF薬を選択する際に、考慮されるようになると、より効果的になる可能性もあるとしています。
(画像は写真素材 足成より)

JAMA Ophthalmology : Change in Diabetic Retinopathy Through 2 Years Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial Comparing Aflibercept, Bevacizumab, and Ranibizumab
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