2型糖尿病の発症には、さまざまな要素が関係していますが、食事習慣や運動習慣といった日常の生活における因子の関連性は強く、予防はもちろん、病態の進行抑制には生活習慣全般の見直しと改善が必要であるとされています。
居住地域の地形、近隣勾配が糖尿病に影響
この生活習慣が糖尿病発症に与える影響の大きさを示す、ユニークな研究結果が「Social Science & Medicine」6月号に掲載されました。それによると、坂道が身近にある地域に住んでいる高齢者では、糖尿病の発症リスクが低く抑えられていたといいます。
研究を行ったのは、Takeo Fujiwara氏らのグループで、分析には2010年に日本国内で実施された、介護を必要としない65歳以上の高齢者に対する横断的調査「Japan Gerontological Evaluation Study」のデータを用いています。この調査では、46地域に住む男女合計8,904人が健康診断を受けたほか、アンケートへの回答を行いました。
居住する地域の地理的環境条件については、アンケートの結果と地理情報システムデータから評価し、個々のリスク要因に合わせて調整を行った上でのマルチレベル分析を実施、糖尿病との関連性に関する検討を行っています。
約1.5度傾斜がアップすると糖尿病リスクは18%減少
ベースライン時で糖尿病だった人は8,904人中1,007人で、HbA1c値が6.5%以上となり、治療を受けていました。コントロール不良の糖尿病状態は、他の慢性疾患を発症しておらずHbA1c値が7.5%を超えている人、または他の慢性疾患を有しており、かつHbA1c値が8.0%を超えている人と定義しています。
分析の結果、居住する地域の近隣における坂の勾配が1.48度上昇すると、コントロール不良な糖尿病状態となるリスクが18%減少することが判明しました。結果に影響を与えうる他の物理的環境や個人の共変量データ調整を行った上での結果であるため、独立して関連する因子と考えられています。
また、糖尿病治療を受けている患者を対象とした感受性分析を行ったところ、居住している近隣エリアにより大きな勾配の坂があるほど、糖尿病の病態進行に対する有意な保護効果が存在することも確認されました。
研究グループでは、軽度の糖尿病も含めた発症そのものに対する有意な関連性は認められなかったものの、コントロール不良な糖尿病患者では、近隣に勾配のある丘陵地に居住していることがメリットになることが判明したとしています。
居住する地域に坂道があり、そこを日常的に歩くことで、平地に住む人よりも、自然と良い運動効果が得られている可能性があります。
(画像は写真素材 足成より)

Social Science & Medicine : Is a hilly neighborhood environment associated with diabetes mellitus among older people? Results from the JAGES 2010 study
http://www.sciencedirect.com/