一般的な尿検査における試験紙法の尿潜血反応で、陽性を指摘されることがありますが、2型糖尿病患者の場合、この陽性反応が腎機能の低下と深く関わっていることが最新の研究で明らかとなりました。
尿潜血陽性と推算糸球体濾過量の低下における関連性を検討
この研究は、日本人の2型糖尿病患者を対象としたコホート解析によるもので、Tsuyoshi Mashitani氏らのグループによってなされました。研究の成果をまとめた論文は、「Journal of Diabetes and its Complications」オンライン版に4月18日付で掲載されています。
尿潜血反応が陽性である場合、通常、膀胱炎や腎炎、結石などが疑われます。主に腎臓や尿管、膀胱といった尿路・尿道に何らかの異常が起きていると考えられるため、それらに生じている炎症や結石、腫瘍の発見に活かされるのです。近年ではこの顕微鏡的血尿と慢性腎臓病との関連性も報告されていますが、2型糖尿病患者における腎臓の状態と、どう関連するかは明らかにされていませんでした。
そこで研究グループでは、「Diabetes Distress and Care Registry at Tenri(DDCRT 14)」として実施した調査研究データをもとに、試験紙法の尿潜血反応と腎機能の状態を示す推算糸球体濾過量(eGFR)の関連性について、検討を行いました。
尿潜血陽性では腎機能低下リスクが2倍超に
対象となったのは、2型糖尿病を患う日本人の3,068人で、Cox比例ハザードモデルによる分析が行われています。追跡期間の中央値は699.7日で、平均年齢は65.7歳、BMI値の平均は24.6kg/平方メートル、HbA1c値の平均は7.5%でした。
分析の結果、尿潜血反応の陽性と、ベースライン時における推算糸球体濾過量(eGFR)およびアルブミン尿の重症度・進行度とは有意に関連していることが判明しました。
また多変量調整後の解析で、尿潜血反応が陰性だった2型糖尿病患者に比べ、陽性であった患者では、eGFRの低下リスクが2.19倍となっていたそうです。こうした関連性は、主な糖尿病の合併症として知られる糖尿病性網膜症を有していない患者を除外するなどしても依然として認められ、独立的で、かつ深い関係があることが示唆される結果となりました。
これらの結果から研究グループでは、尿潜血反応で陽性となる顕微鏡的血尿とアルブミン尿症、腎機能低下の重症度とは有意に関連しており、2型糖尿病患者ではeGFR低下のリスク上昇と関連していることが確認されたとし、尿潜血反応の陽性は、より重篤な糖尿病性腎症に対する有用な指標となり得ると指摘しています。
(画像は写真素材 足成より)

Journal of Diabetes and its Complications : Association between dipstick hematuria and decline in estimated glomerular filtration rate among Japanese patients with type 2 diabetes : A prospective cohort study 【Diabetes Distress and Care Registry at Tenri (DDCRT 14)】
http://www.jdcjournal.com/